☆丸山交通公園ワンマンショー『24世紀の21世紀学 ヤクザについて』
出演:丸山交通公園
(2016年7月1日15時15分開演/アトリエ劇研)
笑の内閣の公演の合間を縫って、丸山交通公園ワンマンショーが開催されるというのでアトリエ劇研まで足を運んだ。
開演前の15分間ほど前説というかBGMがわりに、丸山君自身の昨年7月の日記が読み上げられていたのだけれど、これがまず面白い。
当然日記だから、パーソナルで内輪受け的な箇所もなくはないのだが、赤裸々な世事のあれこれと表現欲求のコントラスト、丸山君の自嘲と自負の大きな振れ幅がはっきりと表れていて実におかかなしい。
徳川夢声その他、丸山君が吸収している事どものチョイスも興味深く、筒井康隆らの日記作品を耳にしているような趣があった。
で、本篇は『24世紀の21世紀学』。
24世紀の人間が21世紀の風俗、歴史を講義のスタイルで語っていくという体のシリーズで、テーマは笑の内閣の公演とも重なる「ヤクザ」だ。
僕はvariety kyotoでの初演にも接している。
その初演と比べて、上岡龍太郎ら先達たちの要領をさらに巧くとらえた語り口に、細かいくすぐりも決まり序盤は快調。
だが、中盤以降はネタの選択も関係してか、丸山君のべしゃりのテンポとは裏腹に笑いそのものは失速していった。
すでに初演の感想でも記したが、虐げられた者の憤りが根底に置かれていること自体には必然性が感じられて大いに納得がいく。
非常に刺激的で興味深い内容である。
ただ、それが即グロテスクな笑いに結びつくかといえば、なかなか難しいというのが正直な感想だ。
例えば、先に名前を挙げた筒井康隆にも通じる嗜虐の比喩の連打など痛快ですらあるのだけれど、字面を想像することなく聴覚のみで接すると印象は大きく変わってくるのではないか。
また、アトリエ劇研の間尺では、密室でよからぬことを共有するといった丸山君とお客さんとの共犯関係が薄れてしまったことも確かだろう。
加えて、variety kyotoのロケーションを活かした肝の部分を別の形に変えざるをえなかった点も惜しかった。
そうした意味で、丸山君に大きな笑いを求めるお客さんにとってはどうしても不完全燃焼気味な結果となり、丸山君本人にとっても不本意な結果となっていたように思う。
笑いとシリアスな部分のバランスをどうとっていくか、丸山君にとって「とっておき」のネタをどう笑いに結び付けていくか。
いずれにしても、ネタの取捨選択が今後のワンマンショーの鍵になると改めて感じた。
次回以降もぜひ愉しみにしたい。
2016年07月02日
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