☆ネオ落語・セントラル 第37回
出演:月亭天使さん、月亭太遊さん、桂文五郎さん
(2016年6月27日20時開演/錦湯)
午前中やっと晴れたかと思ったら、またも夜には雨。
しかもけっこうな降りということで、気圧と湿度に弱いこちらとしてはうんざりな毎日が続いているが、こういうときこそ笑いが肝心と、昨夜も錦湯さんへ足を運んだ。
前回の約40人の超満員に比べれば、お客さんの数は減ったものの、そこは「支持政党あり」(って、政治の話ではなく、雨でも投票に行く人たちに、雨でも錦湯さんに来る自分たちのことをかけて、開演前におしゃべりしていたのだ)の常連さんやリピーターさんが集って、これまた面白い回となった。
37回目となる昨夜は、月亭天使さん、月亭太遊さん、桂文五郎さんの三人が出演。
お客さんの顔触れにあわせて、アットホーム、なおかつコアなトークをたっぷりと続ける。
ここらあたりのさじ加減、本当は難しいところなんだろうけど、そこは錦湯さんでの出番の数が物を言っていた。
それにしても、「タップル」って、まあ。
で、頃合いを見計らって文五郎さんが高座へ。
「のめるのめる」が口癖の男と「つまらんつまらん」が口癖の男二人、自分の口癖を口にしたら罰として千円払う、という賭けを始めるが、「つまらん」男はなかなか仕掛けにのらず、かえって「のめる」男が千円払うことになる、なんとかせねばと甚兵衛さんに知恵を授かった「のめる」男は…。
という、古典の『二人癖』。
前半の積み重ねが後半に活きてくる噺だ。
スタートとラストのトークで話題にもなっていたように、師匠文珍さんとの繋がりで、大きな小屋での出番がほとんどだった文五郎さんだが、ネオ落語・セントラルでは錦湯さんの間尺にあわせて、調整を心掛ける。
間合い掛け合い、聴き心地がよい。
そして、お師匠さんのアイデアという突拍子もない一句(ギャグ)も決まっていた。
続いては、天使さんがネタおろしとなる『書割盗人』に挑む。
新しい長屋に引っ越して部屋一面を白紙で覆ったまではよいが、そこは貧乏人、センベイ布団一枚っきり物はなし、物を買う金もなし、旧知で絵が達者な甚兵衛さんに芝居の書割よろしく家財道具一式ばかりか、猫やら景色やらまで描いてもらう、と、そこへ盗人がやって来て…。
物がなければ絵で描く、物がなければつもりですます。
ドライの極みの滑稽さと、想像することのおかしさ(って、実は落語そのもの)が強調された噺だけれど、たんたんたたん、といった快活なテンポで天使さんはネタおろしを進めていった。
次はどんなネタに接することができるのか、それも愉しみだ。
トリは、太遊さんのネタおろし(降臨)『朝の光』。
タイトルに沿った清々しい雰囲気から、夜の重苦しさ、愚かさ、救いようのなさへと話はどんどん転がっていく。
あえて上下(かみしも)をつけず、その場に「降りた」者たちに言葉を任せる、というのだから、それこそネタの降臨に相応しい内容だ。
しかもその内容がまた、太遊さんならでは。
笑いつつ、深淵を覗かされた気分となる。
グリーグの『ペール・ギュント』の「朝の気分」も非常に効果的だった。
大喜利はやめて、最後は天使さん、太遊さん、文五郎さんも座って「よもやま話」風のトークで〆る。
その距離の近さもまたよきかな。
文五郎さん自身前々から公言している「ブラックさ」がちら、ちらと現われていたのも、おかしかった。
と、一回ごとに大きく雰囲気が変わるネオ落語・セントラル。
毎週月曜夜は、錦湯さんへぜひ!
ああ、面白かった!!
そうそう、昨夜の交流会はコロッケ祭。
実に美味しうございました。
ごちそうさま!
2016年06月28日
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