☆ネオ落語・セントラル 第27回
出演:桂三幸さん、桂あおばさん、月亭太遊さん
大喜利出演:合田団地君、広瀬信輔君、かど君(表記?)
(2016年4月18日20時開演/錦湯)
どうやら毎週月曜の夜は寒くなるようで、昨夜も案の定気温が下がる。
おまけに九州では地震の被害が続いているということもあって入りはどうかなと心配したが(お前は席亭か!)、27回目となるネオ落語・セントラルも20時前には徐々にお客さんが集まり始め、開演の三味の音が鳴る頃には結構な入りとなって重畳重畳。
まずは、桂三幸さんと月亭太遊さんのトークから。
大分と熊本の県境がご実家の太遊さんとしても、今回の地震は気が気でないところだろうけれど、そこはプロ。
愛媛出身の三幸さんともども、しっかりと盛り上げつつ、募金の呼びかけも行っていた。
で、トークは途中の挨拶のみで切り上げた桂あおばさんが高座へ。
と、言うのも今回取り上げるネタ『東の旅』中の『七度狐』で準備に余念がなかったため。
お伊勢さん参りに出かけた喜六清八の二人連れ。
道中、知らぬ間にその地の狐に傷を負わせたのが悪かった。
なんとこの狐、ひどい目に合わせるならば七度騙して返すという執念深い狐で…。
というおなじみの噺だが、袴姿も凛々しいあおばさんは丁寧で細やかな掛け合いと、ここぞというところでの大きな動きでしっかり演じ上げていく。
あとの大喜利で自らを「ざこば(師匠の)同好会」と口にするだけあって、お師匠さんへの愛情をくすぐりでも口跡でも感じさせつつ、あおばさん自身の陽性な人柄もよく表われていた。
以前の『景清』もそうだったけれど、はめ物入り(いつもの香取光さんの三味線)の長尺の噺をこうやって聴くことができる、言葉を換えれば、あおばさんの研鑚にこうやって接することができるのも、ネオ落語・セントラルの大きな愉しみの一つだと実感した。
続いては、三幸さん。
自分のマンションで起こったちょっとかなわんなあという出来事を軽快にマクラでぼやいてみせてから、師匠文枝さん(三枝時代)の作品『合格祈願』を久しぶりに演じた。
大学入試に失敗し浪人中の神社の息子。
うちで祈願されては営業妨害とばかり、父親は息子を大阪の天満宮に参らせに行くが、この息子、どうにも出来が悪くって…。
細かいくすぐりの中にも、ちょっとした知識が詰め込まれているあたりが文枝(三枝)さんらしい。
三幸さんはそこに独自のアレンジを加えつつ、笑いの多い高座を生み出していた。
「ホームグラウンド」に相応しい面白さ。
トリは、先日頭を丸刈りにした太遊さんが登場する。
和服姿で神妙玄妙な顔付きをしていると、歌舞伎の御曹司市川海老蔵ならぬ市川河豚蔵、怪談が得意な講釈師一龍齋貞水ならぬ一龍齋泥水、古典の得意な江戸の落語家春風亭一之輔ならぬ春風亭猪之輔といったおもむきすらある太遊さんだけれど、地震のことやSNSのことなどをマクラで語り、頭が軽くなったとヘヴィメタシャウトネタ『ドナドナ』を披露。
続いて、新作ネタおろしの『明日へのバステト』へ。
流浪のラッパー・アマリリクは慰問のために被災地熊本を訪れるが、地元のおばさんにそんなもんいらんとどやされて…。
実は、この間ネタの中に度々熊本を組み込んできた太遊さんだけれど、今回登場するおばさんこそネオラクゴ・フロンティア初期におろされた『場末のバステト』のママ。
ばってん荒川(皆さんご存じかな?)を彷彿とさせるママとアマリリクの掛け合いも面白いが、まずもってあの民謡『おてもやん』には笑うしかない。
もちろん、らぷご(ラップ落語)の人太遊さんが無自覚に『おてもやん』を取り上げたわけではないことは言うまでもないだろう。
「今」だからこそおろされるべき作品だった。
定番の大喜利は、太遊さんの仕切りの下、三幸さん、あおばさんの落語家陣と、会場から挙手の合田団地君、広瀬信輔君、かど君(広島出身で、大学で笑い関係の同好会に所属と。その説明のところで、あおばさんの「ざこば同好会」の言葉が出た)が、作家の桜井さん、常連神龍さん作のお題に挑む。
ちなみに桜井さんは久方ぶりにお手伝いで参加。
あおばさん出演の回の大喜利では、あおばさんと太遊さんのコンビネーションと三幸さんの我が道を行く的な組み合わせがやはり見ものだ。
昨夜も、そのやり取りが随所で光っていた。
一方、大喜利飛び入り陣は、爪痕遺さでおくべきかの合田君、未来会議とは一味違ったキャラで勝負の広瀬君、天然自然流を狙うかど君と三者三様の構えだった。
そして最後、21日に32歳の誕生日を迎える太遊さんの誕生日を祝って華々しく幕を〆た。
と、今回も盛りだくさんのネオ落語・セントラルでした。
来週太遊さんはお休みですが、盟友三河さんが出演の予定。
皆さん、月曜20時は錦湯さんにぜひ!
ああ、面白かった!!
2016年04月19日
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