2016年02月28日

京都文博噺の会Vol.1 桃月庵白酒独演会

☆京都文博噺の会Vol.1 桃月庵白酒独演会

 出演:桃月庵白酒さん
 前座:桃月庵はまぐりさん
(2016年2月28日14時開演/京都文化博物館6階和室)


 あれは、『権助魚』だった。
 2005年のクリスマス、結婚しようと話をしながら、いろいろと重なって傷つけたり傷つけられたりと、ぐじぐじじぐじぐした間柄の相手と会いに東京を訪れ、ますますぐじぐじじぐじぐした気分になって新宿を歩いているときにふと入った末広亭で聴いた、桃月庵白酒さんの高座がめっぽう面白かった。
 今回の会のプロフィールを確認すると、2005年の9月に真打に昇進、三代桃月庵白酒を襲名とあるから、まだ出番が早いのも当然だけれど、この人からは目が離せないと思うとともに、ぐじぐじじぐじぐとまるで『浮雲』の森雅之か何かを気取るなんておこがましい、自分自身をもっと笑い飛ばさなくてはと目の前がすかっと晴れたものだ。
 その後も、CDその他でさらに笑いに磨きがかかっているなあと感じながら10年以上、大阪で会が開かれているのを知りつつも、ずっと生の高座に接することができないでいた。
 それが、京都文化博物館で新たに始まった落語会、京都文博噺の会のいっとう最初に白酒さんの独演会が開催されるというので、迷わず足を運んだ。
(正直、京都の文化博物館の一番目に東京の噺家さんが呼ばれるということ自体には、いろいろと想うところもある。が、ここではあえてくだくだとは記さない)

 前座はお弟子さんのはまぐりさん。
 お師匠の白酒さんと二人、70畳もの楽屋を用意されて…というマクラで笑いをとって、『真田小僧』の最初の部分を演じた。
 地の部分より、会話の部分がこなれているように感じる。

 で、白酒さんの一席目は『松曳き』。
 高座と客席(京都御所の清涼殿の復元原寸模型の上に高座を設えたために、客席が横にだだ広くなってしまう)にちゃちゃを入れつつ、お客さんの様子を窺うが、東京他の遠征組も含めて満員のお客さんはすでに笑うぞという準備は万端。
 それに応えて、白酒さんも昨今の話題を挟んで大きな笑いを起こし、本題へ。
 お庭の赤松を植え替えようとするお殿様と家臣三太夫の「バカオロカ」ぶりが肝の噺だけれど、二人の間抜けっぷりを白酒さんは良い間で畳みかけていく。
 会場、大いにわく。

 続くは、『替り目』。
 ぐでんぐでんに酔った亭主の古女房に対する愛情をしんみりたっぷり演じるやり方もあるが、白酒さんはそうした噺の性質を押さえつつも、亭主と彼に振り回される人々とのやり取りの滑稽さにも力点を置いて、しっかり笑いを生み出していた。
 なお、白酒さんは途中で切らずに『替り目』という題そのもののサゲまで演じる。

 仲入り後は、『幾代餅』。
 花魁幾代太夫の絵姿を目にして恋煩いにとりつかれた職人清蔵は…。
 というおなじみの噺だけれど、自分が古今亭一門であることを示したりもして、清蔵と幾代太夫や、親方と清蔵のやり取りなどをドライに処理し、新しいくすぐりも随所に盛り込んだ笑いどころの豊富な爆笑篇に白酒さんは仕上げていた。
 中でも、清蔵の人格の著しい変化と廃人ぶりなど笑うほかなかったし、マクラがきちんとそのことの伏線になっていたのにも感心する。

 と、仲入りを入れて2時間強。
 たっぷり笑い、たっぷり刺激を受けた独演会でした。
 ああ、面白かった!!
posted by figarok492na at 20:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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