☆モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番&第21番
独奏:マルコム・ビルソン(フォルテピアノ)
指揮:ジョン・エリオット・ガーディナー
管弦楽:イングリッシュ・バロック・ソロイスツ
録音:1986年4月、ロンドン・セント・ジョンズ・スミス・スクエア
デジタル/セッション
<ARCHIV>419 609-2
フランス・ブリュッヘンとクリストファー・ホグウッドの死に、ニコラウス・アーノンクールの引退で、1980年代以降、デジタル録音の開始と基を一にするピリオド・スタイル流行の端緒を担った指揮者たちも、残るはトン・コープマン、シギスヴァルト・クイケン、トレヴァー・ピノック、ロジャー・ノリントン、そしてジョン・エリオット・ガーディナーということになってしまった。
このアルバムは、そのガーディナー&イングリッシュ・バロック・ソロイスツとフォルテピアノのマルコム・ビルソンが完成させたモーツァルトのピアノ協奏曲全集中の一枚で、彼らの特性をよく伝える内容となっている。
ピアノ協奏曲第20番といえば、モーツァルトの音楽の持つデモーニッシュさが強調されがちだけれど、ビルソンとガーディナーはそうしたロマン派的な解釈に傾くことなく、折り目正しい楷書体の演奏を繰り広げている。
その分、深淵を見つめるかのような心の動きを呼び起こされることはないが、フォルテピアノの簡潔で質朴な音色には魅了されるし、管弦楽伴奏のシンフォニックな構造もよくわかる。
その意味で、長調の第21番のほうがより演奏者の柄に合っているかもしれない。
独奏、オーケストラともにバランスがとれて安定した出来であり、二つの協奏曲のピリオド楽器によるオーソドックスな解釈としてお薦めできる一枚だ。
デジタル初期の録音もクリアで、演奏を愉しむという意味では問題ない。
2016年02月16日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック