☆ないすばでぃプロジェクト
演劇展示企画『当たり前の風景』から「憧れたブラックコーヒー」
脚本:ピンク地底人5号
(2015年12月20日18時スタート/siroiro)
先月末に京都での企画を終えた、ないすばでぃプロジェクトの演劇展示企画『当たり前の風景』を身に、大阪のレンタルスペースsiroiroまで足を運んだ。
レンタルスペースsiroiroは、地下鉄の中崎町駅から歩いてすぐ、細い道を入ったところにあるその名の通り白色のフラットなスペースで、僕の観た「憧れのブラックコーヒー」ではそれを喫茶店に見立てて舞台として使っていた。
で、「憧れのブラックコーヒー」は、登場人物の台詞でも言及されているように、「ハードボイルド」や『探偵物語』(探偵役のたっちゃん石田達拡の雰囲気も加わって、『名探偵コナン』ぽくもある)のオマージュ風の展開なんだけど、実は、登場人物の細かい心の動き、心の綾のほのめかしが作品の肝のような気がした。
ときに寒さや空回りも辞さないやり取りも含めて好感を覚えたが、京都のような掌篇(集)と異なり、一時間近くの尺の作品ということもあり、意図された以上の隙間の埋まらなさというか、時間の不足を感じたことも事実だ。
そしてそれは、演技を練り上げたりトレースしたりするための時間の不足というより、ピンク地底人5号が狙う自然さ、当意即妙さ、即興性をアンサンブルとして一層高めるための時間の不足だとも思う。
それと、自然さ、即興性との繋がりからいえば、中盤一度だけ「場面転換」にあたる部分が設けられていたことに、僕はおやと感じた。
作品の流れから考えればそのまま話を続けてもおかしくないはずだし、もしあそこで流れを切る必要があるとするのであれば、冒頭のように「ラジオ」を挿入してもよかったのではないか。
そうすれば、冒頭触れられていた事件も伏線として回収することが可能だろうし。
ただ、全体的にピンク地底人5号の「あるようなないような」「ないようなあるような」作品世界は、僕にとってとてもしっくりくるものであると改めて思った。
そうした作品世界によく沿った高田美沙希をはじめ、石田達拡、島あや、峰桜花、ガトータケヒロ、ピンク地底人5号の演者陣は、各々の特性魅力を発揮していた。
ないすばでぃプロジェクトの次回の公演(企画)も愉しみだ。
2015年12月20日
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