☆ネオラクゴ・フロンティアsection43
ゲスト:柳家かゑるさん、桂あおばさん
(2015年8月17日20時開演の回/錦湯)
月亭太遊さんのネオラクゴ企画、ネオラクゴ・フロンティアは、2週間ぶりのsection43。
初めての東京からのお客様柳家かゑるさんと、おなじみ桂あおばさんをゲストに迎え、いつもの如くバラエティに富んだ一夜となった。
加えて、常連さんとともに、落語を聴くことを極めたいと話す末頼もしい中学生男子が来場するなど、お客さんもバラエティに富んでいた。
まずは開口一番のおしゃべり。
太遊さんとあおばさんが、この間の出来事などで大いに盛り上げる。
で、あおばさんが『動物園』を演じた。
移動動物園の虎が死んで皮だけ残した、ついてはその皮を被って虎のふりをしたら日当1万円をやる、と言われて動物園に向かった男だったが…。
という、関西ではなじみ深い準古典の作品。
こうしてネオラクゴ・フロンティアで接していて思うのは、あおばさんの語り口が、高座の度にますますどんどん板についているということ。
この『動物園』では、滑稽なやりとり仕草もそうだけれど、地の語りの部分も強く印象に残った。
続くは、かゑるさん。
埼玉県の出身で柳家獅堂さんに入門し、柳家いっぽんの名前から大師匠である鈴々舎馬風さんの前名かゑるを継いだという、若手の落語家さんだ。
そのかゑるさんが何ゆえネオラクゴ・フロンティアに登場したかというと、たまさか発見した太遊さんの『たまげほう』に感動し、太遊さんの許可を得てはるか東京でネタにしているからだそう。
太遊さんとの邂逅(直接会ったのは今回が初めて)や『たまげほう』への深い愛をしっかりと語ってから、本題の『湯屋番』に入った。
まさしく銭湯(錦湯)ならではのチョイスである。
歯切れのよいやりとりは確かに江戸の落語。
だけれど、やはりこの噺の肝は、居候の若旦那が番台にのぼってからだ。
せっかく番台にのぼった若旦那だったが、お目当ての女湯にはお客さんがいない。
仕方ないから、妄想の世界に入る。
その奇妙さとかゑるさんの風貌、柄とのバランス、アンバランス?
さらには、ネオラクゴ・フロンティアの高座のしつらえにぴったりのサゲだった。
そして、太遊さんの新作は『エキスの虎』。
冒頭、無機的な身体の動きからして、これはもうネオラクゴだ。
しかもそれがすぐに、映画俳優を目指した男性がどうしてそれを断念し、小説家志望に転じざるをえなかったかという話の内容と結びついていく。
と、太遊さんが参加している映画『マザー・レイク』の撮影がヒントとなったと思しき作品。
臆面もない男(こういう輩がぎょうさんいるんですわ、ほんま)たちとのやりとりや、ラストの秀逸な仕掛けに大いに笑いつつ、表現者を志す者にはぐぐっと痛いところを突かれる展開ともなっている。
その苦さもネオラクゴならではだと思った。
ああ、面白かった!
最後は三人のおしゃべり。
だけではなくて、当夜も作道雄君がやって来て、youtubeドラマ『フェイク・ショウ』の説明を一くさり。
何とぞご協力のほど。
そして、皆さん、ネオラクゴ・フロンティアにぜひ一度お越しくださいませ!
2015年08月18日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック

