2015年07月31日

オリ・ムストネンが弾いたベートーヴェンのピアノのための変奏曲・舞曲集

☆ベートーヴェン:ピアノのための変奏曲・舞曲集

 独奏:オリ・ムストネン(ピアノ)
 録音:1995年10月16日、17日 ロンドン・ヘンリー・ウッド・ホール
    デジタル・セッション
<DECCA>452 206-2


 フィンランド出身のピアニスト、オリ・ムストネンの実演にも接したことがある。
 2001年11月16日の大阪音楽大学ザ・カレッジ・オペラハウスでの来日リサイタルがそうで、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第15番「田園」、11のバガテル、ロンド・ア・カプリッチョ、幻想曲とブラームスのヘンデルの主題による変奏曲とフーガが並んでいたが、いずれも清新な演奏だった。

 今回は、そのムストネンが弾いたベートーヴェンのピアノのための変奏曲・舞曲集を聴く。
 なお、このCDは、同じDECCAレーベルとの変奏曲集に続く2枚目のベートーヴェンで、その後RCAレーベルにディアベッリの主題による33の変奏曲他とピアノ・ソナタ第30番他の2枚のアルバムを残している。
 おなじみ『庭の千草』(の原曲)などを盛り込んだ6つの民謡主題と変奏曲、7つのレントラー、創作主題による6つのやさしい変奏曲、ロンドハ長調、ハイベルのバレエ『邪魔された結婚』の「ヴィガーノ風メヌエット」の主題による12の変奏曲、メヌエット変ホ長調、6つのエコセーズ、6つのバガテル、ピアノ小品ロ短調と、ロンドと6つのバガテルを除くとあまり有名ではない作品が収められているが、ムストネンのピアノ演奏だと、そのいずれもが個性あふれて魅力的な音楽に聴こえてくる。
 ムストネンのベートーヴェン演奏の特徴を挙げるとすれば、フォルテピアノの影響もあるだろうが、一つ一つの音を細かく跳ねるように響かせつつも、それをぶつ切りにすることなく、大きな音の流れとしてつなげていく。
 また、強弱の変化にも非常に敏感だが、それでいて音の透明感は全く失われない。
 さらに、楽曲ごとの丁寧な腑分け、把握が行われていて、音楽の見通しがよい、ということになるだろうか。
 快活で軽やかな6つのバガテルなど、ウゴルスキの演奏ととても対照的だ。

 ベートーヴェンのくどさ、しつこさにはうんざり、という方にこそお薦めしたい一枚。
 暑い時期には、なおのことぴったり!
posted by figarok492na at 16:42| Comment(0) | TrackBack(0) | CDレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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