2015年07月30日

アンドレアス・シュタイアーが弾いたハイドンのクラヴィーア・ソナタ集VOL.2&VOL.3

☆ハイドン:クラヴィーア・ソナタ集VOL.2&VOL.3

 独奏:アンドレアス・シュタイアー(フォルテピアノ)
 録音:VOL.2 1991年9月9日〜12日
    VOL.3 1992年6月8日〜11日
    リントラー・クルトゥールゼントルム
<DHM>05472 77186 2(VOL.2) 05472 77285 2(VOL.3)


 アンドレアス・シュタイアーがドイツ・ハルモニアムンディ・レーベルに録音した3枚のハイドンのクラヴィーア・ソナタ集のうち、第35番〜第39番と第20番の第2集、アリエッタと12の変奏曲第1番、第34番、アンダンテと変奏曲、第33番、皇帝讃歌『神よ、皇帝を護り給え』による変奏曲の第3集を聴く。
 ハイドンのソナタといえば、ソナチネ・アルバム=初心者のための教材というイメージがどうにも付きまとうが、このシュタイアーのフォルテピアノ演奏で聴くと、そんな思い込みも一発で吹き飛んでしまう。
 例えば、第2集の冒頭に収められた第35番の第1楽章を聴いて欲しい。
 それこそソナチネ・アルバムでおなじみの作品だけれど、飛び跳ねるような音楽のなんと美しく軽やかなこと!
 聴いていて、本当にうきうきしてくる。
 同じ第2集の第38番の第1楽章もそう。
 作品の持つ明るさ、愉しさ、活き活きとした感じが存分に再現されている。
 と言って、シュタイアーは浮かれ調子の馬鹿っ調子で好き勝手手前勝手に弾き倒しているわけではない。
 テンポ設定や強弱の変化等々、作品の構造の把握の的確さに秀でている点は、やはり高く評価せねばならないだろう。
 また、ソナタの緩徐楽章や第3集の変奏曲などにおける叙情性、歌唱性への充分な配慮も忘れてはなるまい。
 弦楽4重奏曲第77番「皇帝」の第2楽章ともつながる皇帝讃歌による変奏曲の静謐さ、真摯さも強く印象に残った。
 ソナチネ・アルバムにうっとうしい想いをさせられた方にこそ強くお薦めしたい、とびきりのアルバムである。
posted by figarok492na at 22:50| Comment(0) | TrackBack(0) | CDレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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