☆C.T.T. kyoto vol.113 2015年7月上演会
*ないすばでぃプロジェクト『恋は意外と盲目』
脚本:うつぎ、演出:ピンク地底人5号
出演:森田深志、島あや、ピンク地底人5号他
*250km圏内『Love&Peace』(&Peaceには真ん中に横線)
テキスト・演出・出演:黒田真史
テキスト:宮尾昌宏、演出・出演:小嶋一郎
*あいまや『希望、指さき』
劇作:梅野昶、演出:蜂巣もも
出演:前田愛美
(2015年7月18日19時開演/アトリエ劇研)
久方ぶりのC.T.T. kyoto上演会は、ないすばでぃプロジェクト、250km圏内、あいまやの、演劇三団体が出演していた。
まずは、ピンク地底人5号を中心とした演劇ユニット、ないすばでぃプロジェクトの『恋は意外と盲目』から。
いくつかのシーンが重なるうちに湧き表われてくるのは、なんとも言えない「おかせつなさ」。
で、合評会で5号君が語っていた、シーンを「見せる」、演者の演技を「見せる」という言葉には充分納得がいって、確かに登場人物間のやり取りに心地よさ、面白さを感じたりもした。
ただ、補助線が多いというか、話の筋をわかりやすくする意図で設けられた場面、箇所が若干目立つような気がしないでもなかった。
ナイーヴさと空虚さが同居したような森田君、朴訥で誠実でありながらフラのある5号君、ともにその特性と役柄がよく沿っていた。
また、身体表現はもちろんのこと、島さんの役回りにあわせた細かい感情表現の変化も強く印象に残った。
同じ顔ぶれでの本公演が待ち遠しい。
続く、250km圏内は、座・高円寺の劇場創造アカデミーの1期生(修了)である小嶋一郎と黒田真史(女性)による劇団。
11月のアトリエ劇研での公演を前にした試演で、黒田さん、小嶋君が各々のパートを演じる。
今現在向き合わざるをえない切実なモティーフを、演劇という方法を用いて如何に表現するかといった内容の作品で、あえて「不自然な」作品と評したくなった。
演者として一日の長のある黒田さんの精度の高い演技と、今回が初めてという小嶋君のぶれ、揺れの大きい演技(しかし、だから面白くないというわけではない。どころか、これまたフラがある)の対比も興味深かったが、モティーフよりもスタイルが前に来るというか、モティーフがとってつけたもののように感じられるきらいがなくもなかった。
ならば、より技の面、演劇的手法に特化した表現でもよいのではないだろうか。
いずれにしても、11月の公演を愉しみにしたい。
あいまやは、青年団の演出部で活動する蜂巣ももと前田愛美が一ヶ月半の制作時間で短篇作品を上演するという企画団体だ。
当然前田さんの個性、魅力が大きく物をいった作劇だったのだけれど、それがまだ表面的な範疇に留まっているように感じられる部分が僕にはあった。
蜂巣さんの持つ孤=個の部分だけではなく、我=表現欲求の強さと前田さんのそれとの齟齬の表われというか。
その齟齬をどう埋めていくか、もしくはより積極的に活かしていくかで、一層明確で心的影響力の強い作品が生み出されるように思う。
今後のさらなる活動に期待したい。
と、バラエティに富んだ三団体で、それぞれの演劇的手法、表現内容の違いに加えて、島さん、黒田さん、前田さんという三人の女性の演技者の個性特性魅力の違いに接することができたことも、今回のC.T.T.の大きな収穫だった。
2015年07月19日
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