2015年07月12日

同志社女子大学学芸学部音楽学科オーケストラコンサート

☆同志社女子大学学芸学部音楽学科オーケストラコンサート

 吹奏楽指揮:関谷弘志
 吹奏楽:同志社女子大学音楽学科ウインドオーケストラ

 管弦楽指揮:山下一史
 管弦楽:同志社女子大学音楽学科管弦楽団
(2015年7月11日14時開演/同志社女子大学京田辺キャンパス・新島記念講堂)

 夕暮れ社 弱男ユニットでも活躍中の藤居知佳子さんが出演するということで、同志社女子大学の京田辺キャンパスまで同志社女子大学学芸学部音楽学科のオーケストラコンサートを聴きに行って来た。
 同志社女子大学といえば、もう15年以上も前になるか、野入志津子がゲスト出演したリュートアンサンブルのコンサートを聴いたことがあるが、あのときは小ぶりな頌啓館ホールが会場。
 新島記念講堂は千人規模の大ホールで、ほわんほわんとよく反響していた。

 で、第1部は、関谷弘志指揮による同志社女子大学音楽学科ウインドオーケストラの演奏。
 ネリベルのフェスティーヴォ、ホルストの吹奏楽のための組曲第2番、リードのアルメニアン・ダンス パートTと、ブラバン・ファンにはおなじみの作品が並ぶ。
(ちなみに、クラシック音楽のファンとブラバン・ファンには、純然たる境界があるように思う。コーラス・ファンとの間にあるような)
 オーケストラの指揮でも知られる関谷さんは、音楽の角をしっかり詰めるというか、まとまりのよいアンサンブルを築きつつ、鳴らすべきところを大いに鳴らして、半歩先に進んだようなネリベル、イギリスの伝統的な様式に則りながらソロの聴かせどころをきちんと設けたホルスト、エンタメ性に富んで愉しいリードという、各々の楽曲の特性魅力をよく表していた。
 ウインドオーケストラもそれによく応えて、響きのよい演奏を披露する。

 休憩を挟んで第2部は、山下一史指揮の管弦楽団とソリストたちの協演。
 まずは、フルートの長谷川夕真とハープの松井夕佳の独奏でモーツァルトのフルートとハープの協奏曲の第1楽章と第3楽章が演奏されたが、作品の持つインティメートな雰囲気がよく再現されていたと思う。
 特に、単に技術的に完璧に吹きこなすというのではなく、「笛を吹く」楽しさ心地よさをうかがうことのできた長谷川さんのフルートに好感を覚えた。

 続いては、ソプラノの浦山慶子が、ドニゼッティの歌劇『ドン・パスクヮーレ』からノリーナのアリア「騎士はあの眼差しを」を歌う。
 女性の恋心を歌った軽快でコケットリーなアリアで、平場というか語りが勝った箇所では少しだけたどたどしさを感じたものの、高音部分では浦山さんの澄んで伸びのある声質がいかんなく発揮されていた。

 メゾソプラノの藤居知佳子さんが歌ったのは、サン=サーンスの歌劇『サムソンとデリラ』からデリラのアリア「あなたの歌声にわが心は開く」。
 藤居さんの声量の豊かさは夕暮れ社の公演ですでに承知していたけれど、今回大ホールで耳にして、さらにそのことを痛感した。
 サムソンに愛を訴えながら、それが大きな策略となっているという一筋縄ではいかないアリアだが、藤居さんは幅が広くて深みのある声と真摯な感情表現で充分に納得のいく歌唱を繰り広げていた。
 強弱など、細部のコントロールが一層の緻密さを増せば、さらに活躍の場が増していくように思った。

 第2部最後は、林あゆみのピアノ独奏で、シューマンのピアノ協奏曲の第1楽章が演奏される。
 林さんの演奏スタイルもあって、作品の持つ歌唱性叙情性よりも、ヴィルトゥオージ性をより感じた。

 再び休憩を挟んだ第3部は、山下一史指揮の管弦楽団がシューマンの交響曲第1番「春」に挑んだ。
 外枠をしっかり固めるというか、弦管ともに厚みのある音色を築いた上でエネルギッシュにパワフルに鳴らす山下さんの音楽づくりは、相対するオーケストラが技術的に高い場合、作品によっては幾分表層的に聴こえるきらいがなくはなく、例えば京都市交響楽団第528回定期演奏会(2009年9月4日/京都コンサートホール大ホール)のシューマンの交響曲第2番など、強奏がよい意味での狂奏になりきらないもどかしさを感じたりもした。
 だが、今回の場合、アンサンブルを一から丁寧に造り上げていかなければならないという制約が、山下さんの特性をひときわプラスに働かせる結果となっていたのではないか。
 若干ごたついて聴こえる箇所もなくはなかったが、作品の構造や劇性はよくとらえられ、再現されていたと思う。
 ソロの部分を含めて、オーケストラも大健闘だった。
 第1楽章の繰り返しなどの省略も、コンサートの時間(3時間近く)を考えれば適切だろう。

 アンコールは、ブラームスのハンガリー舞曲第1番。
 上述した時間の関係上、相当まきの入った演奏だったが、土台がしっかりしている分、良い意味であおりがついてドラマティックな仕上がりとなっており、わくわくすることができた。

 と、予想していた以上に密度が濃くて、聴き応えのあるコンサートだった。
 ああ、面白かった!
posted by figarok492na at 00:17| Comment(0) | TrackBack(0) | コンサート記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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