☆ブラームス:管弦楽曲集
指揮:ハンス・クナッパーツブッシュ
独唱:ルクレティア・ウェスト(アルト)
合唱:ウィーン・アカデミー男声合唱団
管弦楽:ウィーン・フィル
録音:1957年6月10日〜15日、ウィーン・ソフィエンザール
アナログ・ステレオ/セッション
<タワーレコード/DECCA>PROC-1667
ユニバーサルの協力でタワーレコードが進めている独自企画、ヴィンテージ・コレクション・プラスのうち、ハンス・クナッパーツブッシュの没後50年を記念した特別シリーズ中の一枚。
国内外問わずこれまでばらばらにリリースされてきた、大学祝典序曲、ハイドンの主題による変奏曲、アルト・ラプソディ、悲劇的序曲をLPそのままのカップリング、さらにはLPそのままのジャケット・デザインで、ブラームスの管弦楽曲集として発売した点がまずもって貴重だろう。
それだけでも、ありがたい。
で、演奏のほうはというと、LPのA面にあたる大学祝典序曲とハイドンの主題による変奏曲では、良い意味でのオールドファッショというか、クナッパーツブッシュとウィーン・フィルらしい大づかみで大どかな演奏が繰り広げられている。
当然粗さやブラームス特有のぎくしゃくした感じを強く感じたりもするが、弦楽器の艶やかさや管楽器のひなびた音色、それより何より呵々大笑とした雰囲気はやはり捨て難い。
(なお、大学祝典序曲の5分13秒あたりからのホルンの強奏、その後の5分20秒あたたりのピチカートによるおなじみのメロディの強調は、クナッパーツブッシュの解釈に加えて、DECCAレーベル特有の録音の効果もあるのではないか?)
一方、B面にあたるアルト・ラプソディと悲劇的序曲では、ブラームスのシリアスな側面が、ゆったりとしたテンポの重心の低い演奏によってよくとらえられている。
アメリカ出身のウェストは、折り目正しい歌唱だ。
60年近く前の録音ということで、どうしても音の古さを感じてしまうものの、クナッパーツブッシュとウィーン・フィルの美質を識るという意味では問題あるまい。
オーケストラ音楽好きには大いにお薦めしたい。
それにしても、どうしてジョージ・セルのシリーズではクナッパーツブッシュのシリーズと同じことができなかったのだろうか。
何も足さない何もひかない。
タワーレコードの企画担当者には、もっともっと「オリジナル」にこだわってもらいたい。
2015年06月10日
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