☆ノーベル賞授賞式典の音楽
指揮:アンドルー・デイヴィス
管弦楽:ロイヤル・ストックホルム・フィル
(1996年6月/デジタル・セッション録音)
<FINLANDIA>0630-14913-2
題して、「ノーベル賞授賞式典の音楽」。
スウェーデンのストックホルムで開催されるノーベル賞の授賞式典で演奏されてきた音楽を、式典のホストオーケストラであるロイヤル・ストックホルム・フィルが当時のシェフ、アンドルー・デイヴィスの指揮で録音した興味深いアルバムだ。
アルヴェーンの祝典音楽にベルワルドの『ソリアのエストレッラ』序曲、ルーマンのドロットニングホルム宮廷のための音楽第1番、ローセンベリの『町のオルフェウス』からタンゴとフィナーレというお国ものをはじめ、ドヴォルザークのスラヴ舞曲第9番、グリンカの『ルスランとリュドミラ』序曲、シベリウスのカレリア組曲から行進曲風に、ニールセンの『アラディン』からオリエンタル・マーチといった栄えある式典に相応しい勇壮で劇的な作品とともに、バーバーの弦楽のためのアダージョやグリーグの『ペール・ギュント』第1組曲から朝も収められていて、なかなかバランスのよい構成である。
時にオーケストラ(弦楽器)の音色の細さや、セッションの加減もあってか粗さを感じる部分もなくはなかったが(特にブラームスの大学祝典序曲。明らかに音が外れている箇所がある)、基本的には機能性に優れた演奏で、アンドルー・デイヴィスも作品の肝、勘所をよく心得た音楽づくりを行っている。
中でもバーンスタインの『キャンディード』序曲は、この作品の持つうきうきとした雰囲気が巧みに表されている上にブラスの鳴りもよく、予想外の好演に感心した。
(アンドルー・デイヴィス指揮の『キャンディード』序曲といえば、「EMI100周年グラインドボーン・ガラ・コンサート」<EMI>にロンドン・フィルとのライヴ録音が収録されているが、あいにく未聴)
クリアな録音も含めて、実に聴き心地のよい一枚。
なお、国内では「これがノーベル賞のオーケストラだ!!」のタイトルで、1996年11月にリリースされていた。
ニュアンスは異なるものの、これまたアルバムの内容をよく示したタイトルだ。
2015年04月16日
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