2015年04月11日

トリコ・A×CHAiroiPLIN/安部公房作品合同上演プロジェクト

☆トリコ・A×CHAiroiPLIN/安部公房作品合同上演プロジェクト

*トリコ・A『An Object Tells』

 原作:安部公房(小説『棒』)
 構成・演出:山口茜
 振付:松本成弘

*CHAiroiPLIN『FRIEND』〜踊る戯曲1〜

 原作:安部公房(『友達』)
 構成・演出・振付:スズキ拓朗
(2015年4月11日16時開演/元・立誠小学校音楽室)


 CONDORSのメンバー、スズキ拓朗が主宰を務めるCHAiroiPLINにとって初の京都公演となる、トリコ・A×CHAiroiPLIN/安部公房作品合同上演プロジェクトを観たが、このスズキ拓朗とCHAiroiPLINは掛け値なしに目の離せない表現者であり団体であると思い知らされた。

 2013年度の若手演出家コンクール最優秀受賞作品である『FRIEND』は、安部公房の『友達』をスズキさんが仕立て直したもので(登場人物も数人増減がある)、「踊る戯曲」という看板に全く偽りはない。
 結婚を間近に控えた一人暮らしの男のアパートの部屋に、父母祖母と娘3人息子3人しめて9人の家族がやって来る。
 男は早速家族を追い出そうとするものの…。
 といった展開は、都市における個の孤独や孤立だとか、自己存在の不安定さだとか、集団組織の持つ悪意だとか、まさしく安部公房ならではのものだが、粒揃いの演者陣はときに激しくときに穏やかな身体の動きを駆使して、それらを巧みに表現していく。
 むろんそこは踊りの骨法をよくわかったスズキさんだけに、アンサンブル、個々人ともども見せ場魅せ場を設けることも忘れない。
 終盤の「ぶち壊し」(もしくは祭とでも呼ぼうか)の場面等々、心底ぞくぞくとさせられた。
 加えて、原作からの場面や台詞のチョイスも的確だし、例えば家族たちの風体などに到るまでテキストの背景にあるものへの配慮も行き届いている。
 また、狂言回し的な存在を演じる清水ゆり(あるシーンの表情がとてもいい)のアコーディオンと「ソング」等、生音あり物ともに音楽が効果的に使用されている点(まず冒頭の選曲!これでもう唸った)や、映像の活用も安部公房と彼が影響を受けた先達たちの作品世界によく則っていると思う。
 痛切切実でありながら、滑稽さ毒っ気にも満ちたバランス感覚のよさにも非常に好感が持てた。
 終了後、観て本当によかったという想いにじわじわじわじわと包まれる濃密な作品であり、上演だった。
 ああ、面白かった!

 一方、トリコ・Aの『An Object Tells』は、現在アトリエ劇研の「アソシエイトアーティスト・ショーケースBグループでも上演中。
 同じく安部公房の『棒』を山口茜が構成演出したもので、こちらもダンス(松本成弘の振付。個性的な風貌と強固な身体表現の持ち主)が積極的に織り込まれた作品となっていた。
 ワークインプログレス、今後完成される作品の試演といった形のため、筋が通り切れていない感は否めないものの、だからこそ茜さんの本質というか、核となるものが如実に示されていたようにも思う。
 そして、そうした内容であることと、演者が全て男性ということもあって、全て女性によって演じられた2011年7月のC.T.T. vol94における『ポストムーミン』(1日、アトリエ劇研)のことを思い出したりもした。
 演者陣の中にはこれまでダンスとあまり関わりのなかった人も含まれていたが、ラストの乱舞などなど、皆奮闘していた。
 どのような作品が出来上がるのか、とても愉しみである。

 それにしても、スズキさんやCHAiroiPLINの面々には、今回の公演をきっかけにして今後も末長く京都で公演を行っていって欲しい。
 今年8月に予定されている次回公演、踊る漫画『鳥獣戯画』(仮)(東京。シアタートラム)も、気になるなあ。
 ほんと、東京まで観に行こうかな。
posted by figarok492na at 22:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 観劇記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック