2014年11月30日

夕暮れ社 弱男ユニット『プール』

☆夕暮れ社 弱男ユニット『プール』

 作・演出:村上慎太郎
 美術:小西由悟
(2014年11月30日16時半開演の回/京都芸術センターフリースペース)


 『プール』なんてタイトルを目にすれば、昨年6月の『夕暮れ社、海のリハーサル』(元・立誠小学校講堂)ではないけれど、それこそ機で奇をてらった水辺のスケッチで攻めてくるんじゃないのかしらと思っていたらなんのなんの、はじめ父と娘の親子関係や職場の人間関係を淡々とコミカルに、途中一気にシリアスに、そして終盤泣かせどころを仕掛けて、ラストで「夢」を与えるという結構オーソドックスな展開で、これはまんまと予想を裏切られた。
 いやまあ、高槻やビギナーズユニットの『ナツヤスミ語辞典』での最近の村上君の成果を考えれば、実はこうした作劇は全く不思議なことではないのだが。
 それに、小山田浩子の小説『いこぼれのむし』を彷彿とさせる、単調で閉塞した労働環境の中で発生する集団内の悪意(それはもしかしたら、村上君自身の実際の体験の投影かもしれない)が、いつもの如く一見何気なく、その実大変極まる肉体の駆使を通して表現されていたり、個々のキャラクターを活かしたデフォルメの効いた笑いの仕掛けが施されていたり、藤居知佳子の歌唱(重光美沙の伴奏)等音楽が効果的に利用されていたりと、夕暮れ社 弱男ユニットならではの特性も十分に発揮されていた。
 筋運び、物語の設定を細かく追えば、無理を通したように感じられる部分もなくはなかったが、後述演者陣の演技の力によってもよく補われており、強く心を動かされた。
(もちろん、稲森明日香をはじめとした夕暮れ社 弱男ユニット・メンバーの総合的なサポートも忘れてはならないだろう)

 『ナツヤスミ語辞典』からさらに濃度を高めた南志穂のほか、ベテランの小坂浩之、阪本麻紀、さらには御厨亮、向井咲絵、伊勢村圭太、稲森さん、藤居さん、佐々木ヤス子、佐々木峻一の演者陣は、個々の役回りによく沿った演技を重ねていたと思う。
 「労働」、「水泳」と本当にお疲れ様でした。

 一層密度の濃い王道中の王道を歩むのか、それとも、良い意味でなんともくっだらねえ作品をぶつけてくるのか。
 いずれにしても、次回の公演が待ち遠しい。
 ああ、面白かった!
posted by figarok492na at 22:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 観劇記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック