2014年08月13日

カルタ遊び その2

「房子さまはそうおっしゃって、部屋をお出になりました」
「それじゃあ、房子さんは部屋を出たと言うんだね」
「はい」
「房子さんにはそういうところがあるからなあ」
「そういうところってどういうところよ」
「だって、そりゃ。永井さん。永井さん、永井さん」
「この人なら寝てますよ」
「たぶんお疲れになられたんでしょう」
「なんだかんだ言っても、もう八十過ぎの老人だからなあ」
「おい、何か言ったかい」
「いいえ、何も」
「警部、失礼します。庭のほうを調べましたが、櫟さんと思しき足跡は一切ありませんでした」
「ううん、そうか。それでは、房子さんはどこへ行ったんだろう」
「そういえばあなた、前にも一度こういうことがあったじゃありませんの」
「そうそう、あったなあ。あれは、叛乱事件の前の日のことだった」
「叛乱事件ってなんのこと」
「ニ・二六事件のことだよ。伊勢君、君もあのとき櫟さんのお屋敷にいたんだろう」
「ええ、いましたが。しかし」
「そ、そ、その話を、ぼ、ぼ、ぼくに聞かせていただけませんか」
「それよりも、房子さんの行方を探すことが先じゃないのかね」
「まあ、汚い。テーブルがフケだらけ」
「あっはっは。等々力さん、房子さんなら大丈夫ですよ。ねえ、そうでしょう伊勢さん」
「まあ、そうですね。ねえ、芝山君」
「はあ、実はその、房子さまはですね、すぐそこに」
「えっ!!!!!!!!」
posted by figarok492na at 23:29| Comment(0) | TrackBack(0) | カルタ遊び | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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