2014年08月08日

イッパイアンテナの怪談『遠野物語』

☆イッパイアンテナの怪談『遠野物語』

 原作:柳田國男
 脚色:大崎けんじ
 演出:大崎けんじ
(2014年8月7日19時開演/元・立誠小学校木工室)


 諸々あって一旦活動を停止したイッパイアンテナが、大崎けんじ(崎は、本当は大ではなく立)を中心とする団体としてこの度活動を再開した。
 その第一回目の公演となる『遠野物語』は、柳田國男が蒐集した岩手県遠野地方の怪奇譚そのものとともに、柳田と遠野の若者佐々木鏡石らとのやり取りを織り込むことで、怪奇譚怪談の背景となる地元の自然や生活であるとか、都市と地方との関係性、さらにはアクチュアリティの問題に目配せした、意欲的で幅の広い作品づくりが試みられていた。
(その意味でも、井上ひさしのことをすぐに思い起こした)
 1時間という上演時間もあってか、物語の構成等で喰い足りなさを覚えた部分もなくはなかったが、イッパイアンテナのこれからの方向性がよく表われた作品であり公演となっていたことも確かだろう。

 金田一央紀は、張りのある美声と滑稽なキャラクターが持ち味。
 表層的であるとともにどこか狂躁的でもある柳田國男の再現に努めていた。
 公演回数を重ねることで、さらにならされ造り込まれていくのでは。
 一方、佐々木鏡石役の、あぶ潤(芝居ぶる男)は、若干粗さはありつつも、岩手出身という強みに加え、あぶさん自身の鬱屈した感じが巧く重なり合って、リアリティのある人物像を生み出していた。
 特に、終盤、この作品の肝となる部分での声が強く印象に残る。
 三鬼春奈は、プレイベントの「ストリート怪談」も含めて、いつもながらの巧さ達者さ。
 ただ、行燈(蝋燭)程度の明度であるはずのものが、ガスランプ程度の明度をもって示されているというか、芯の強さが透けて見えるというか、本来求められているだろう役回りといくぶん齟齬を感じたことも事実だ。

 いずれにしても、イッパイアンテナの今後の活動に注目するとともに、出演者はじめ関係者の皆さんの今後の一層の活躍に期待していきたい。
posted by figarok492na at 03:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 観劇記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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