2014年06月30日

ヘンゲルブロックが指揮したマーラーの「巨人」のハンブルク再演稿

☆マーラー:交響曲第1番「巨人」(ハンブルク再演稿)

 指揮:トーマス・ヘンゲルブロック
管弦楽:ハンブルクNDR(北ドイツ)放送交響楽団
(2013年5月.第2〜第4楽章、2014年1月.第1、第5楽章/デジタル・セッション録音)
<SONY/BMG>88843050542


 1889年11月のブタペスト初演が失敗したマーラーの2部5楽章の交響詩は、幾度かの改訂作業を経たのち、1896年、4楽章の交響曲へと生まれ変わった。
 このアルバムはそうしたマーラーの交響曲第1番誕生のプロセス、より詳細にいえば、1893年10月のハンブルク再演と1894年7月のワイマル再々演の際に行われた改訂作業を、指揮者ヘンゲルブロックも加わって再現したものである。

 2部構成5楽章形式(第2楽章に、いわゆる「花の章」が置かれている)という点はブダペスト初演に準じるものの、その音楽的内容は、1896年の現行版に大きく近づいているというのが、一聴しての感想だ。
(ちなみに、マーラー自身が愛読したジャン・パウルの小説『巨人』から「巨人」というタイトルが付されたのも、このハンブルク稿からである)

 その現行版(手元にあるのは、ピエール・ブーレーズ指揮シカゴ交響楽団<ドイツ・グラモフォン>)と聴き比べると、言葉が足らないというか、表現がなめされきれていない物足りなさを覚えたことも事実だけれど、一方で、それこそ『さすらう若人の歌』につながるような若々しさを感じたことも確かで、途中経過と一概に切り捨てることはできまい。

 ヘンゲルブロックとハンブルクNDR交響楽団は、音楽の構成、作品の勘所をよく押さえた、シャープでメリハリのよくきいた精度の高い演奏を行っている。
 「花の章」をはじめ、瑞々しくて過度に陥らないロマンティックな表現も魅力的だ。

 ただ、録音会場(リューベックのムジーク・ウント・コングレスハレ)のもやった音響をデジタル処理で無理からクリアに分離させようとした、音質のもどかしさが気にならないでもない。

 現行版を聴き慣れた方、マーラーの交響曲好きにはご一聴をお薦めしたい。
posted by figarok492na at 12:35| Comment(0) | TrackBack(0) | CLACLA日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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