2014年06月18日

ドロテー・ミールズが歌ったハイドンの歌曲集『アン・ハンターのサロン』

☆ハイドン:スコットランド民謡集&英語によるカンツォネッタ集

 独唱:ドロテー・ミールズ(ソプラノ)
 伴奏:レザミ・ド・フィリップ
(2013年2月/デジタル・セッション録音)
<CPO>777 824-2


 ロンドン滞在中のハイドンが作曲した英語によるカンツォネッタと、別途編曲したスコットランド民謡の一部を、ドロテー・ミールズが歌ったアルバム『アン・ハンターのサロン』だ。
 ちなみに、カンツォネッタの作詞者であるアン・ハンターは当時未亡人の詩人で、ハイドンと親密な関係にあったとも伝えられている。
 ハイドンとアン・ハンターとの信頼関係も表われているのかどうか、カンツォネッタにせよスコットランド民謡にせよ、明晰で質朴、それでいて細やかな感情表現とリリカルさ、音楽的仕掛けに満ちた作品である。
 そうした音楽の特性魅力と、ミールズのよく澄んで伸びのあるウェットな声質がまた非常によく合っていて、何度聴いても全く聴き飽きない。
 特に、豊かで抒情的な感興をためた『誠実 Fidelity』(トラック12)と、軽快愉快な『ジェニーの半ペニー Jenny’s Bawbee』(トラック17)は、ミールズの歌唱の幅の広さを識るという意味でも聴き逃がせまい。
 ルドガー・レミー(フォルテピアノ)、エヴァ・サロネン(ヴァイオリン)、グレゴール・アンソニー(チェロ)によるピリオド楽器の伴奏も、出しゃばり過ぎず退き過ぎず、過不足のない伴奏で、このアルバムの愉しみを増している。
 ハイドンなんてつまんない、と思い込んでいる方にこそお薦めしたい一枚だ。
posted by figarok492na at 16:14| Comment(0) | TrackBack(0) | CDレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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