☆ピアノ小品集「マザーランド」
ピアノ独奏:カティア・ブニアティシヴィリ
(2013年4月/デジタル・セッション録音)
<SONY/BMG>88883734622
グルジア出身の若手ピアニスト、カティア・ブニアティシヴィリが「マザーランド(故国)」のタイトルで録音したピアノ小品集だ。
ヨハン・セバスティアン・バッハ(ペトリ編曲)の「羊は憩いて草を食み」で始め、チャイコフスキーの四季から「10月」、メンデルスゾーンの無言歌「失われた幻影」、ドビュッシーの「月の光」、カンチェリの「アーモンドが生るとき」、リゲティのムジカ・リチェルカータ第7番、ブラームスの間奏曲作品番号117から第2番、リストの「子守歌」、ドヴォルザークのスラヴ舞曲作品番号72から第2番、ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」、ショパンの練習曲嬰ハ短調作品番号25−7、スクリャービンの練習曲嬰ハ短調作品番号2−1、ドメニコ・スカルラッティのソナタ変ホ長調K.380、グリーグの抒情小曲集から「郷愁」、トラディショナルの「私を愛してる?」、ヘンデル(ケンプ編曲)のメヌエット、そしてペルトの「アリーナのために」で閉めるという、とても凝った選曲で、精神的な故郷とでもいおうか、清謐なノスタルジーを喚起させられる。
ブニアティシヴィリも、そうした選曲に相応しいリリシズムをたたえた、柔らかく丁寧な演奏を繰り広げていて、実に聴き心地がいい。
響きのよいベルリンのイエス・キリスト教会での録音ということもあってか、いくぶん音がこもった感じもしないではないが、アルバムの趣旨や作品、ブニアティシヴィリの演奏によく合っているとも思う。
夜遅く、カモミールティーでも飲みながらゆっくりと耳を傾けたい一枚だ。
2014年05月30日
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