☆ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番&パガニーニの主題による狂詩曲
独奏:ジャン・イヴ・ティボーデ(ピアノ)
指揮:ウラディーミル・アシュケナージ
管弦楽:クリーヴランド管弦楽団
(1993年3月/デジタル・セッション録音)
<DECCA>440 653-2
ラフマニノフって、ちょっと苦手なんですよ。
これが生の演奏会なら話は別だし、交響曲第2番の第3楽章やヴォカリーズみたくリリカルで美しい旋律の書き手であることだってわかっちゃいるんですけどね。
でも、家でホロヴィッツやリヒテルが弾いたピアノ作品や、スヴェトラーノフ指揮ロシア国立交響楽団が演奏したオーケストラ作品を聴いていると、すごいはすごいんだけど、そのすごさってなんなんなあ、って感じで。
内心、感心感嘆もしてないのに思わず「お見事!」って口走って、三船敏郎じゃないや、ホロヴィッツやリヒテル、スヴェトラーノフたちに叱責されそう。
で、ラフマニノフのCDにはあんまり手を出してこなかったんだけれど、ピアノ協奏曲第2番とパガニーニの主題による狂詩曲という有名どころを集めたこのアルバムならば、こんなラフマニノフ苦手人間でも安心して愉しむことができる。
もちろん、作品自体がそういうつくりだから、ピアノのオケも鳴るべきところはジャンガジャンガしっかり鳴ってはいるのだが、まだ抑制がきいているというのかなあ。
コンチェルトでいえば第2楽章、ラプソディでいえばおなじみ第18変奏だとか、先述したリリカルで美しい旋律、言い換えればラフマニノフのロマンティシズムに重点が置かれた演奏になっていると思う。
一つには、ティボーデのピアノの音色もあるんだろうけれど。
アシュケナージのほうも勝手知ったる作品だけに(同じDECCAレーベルにソリストとして2回、ラフマニノフのコンチェルト全集を録音している)、過不足のない音楽づくりを行っているのではないか。
何しろ、クリーヴランド管弦楽団が巧い。
これ見よがしの派手さには欠けるものの、部屋で何度も繰り返して聴くという意味では最適の一枚だと思う。
2014年05月18日
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