☆シューベルト:交響曲第3番&第7番「未完成」
指揮:アントネッロ・マナコルダ
管弦楽:カンマーアカデミー・ポツダム
(2011年4月、6月/デジタル・セッション録音)
<SONY/BMG>88691960642
イタリア・トリノ出身の指揮者アントネッロ・マナコルダとドイツ・ベルリン近郊のポツダムを本拠地とする室内オーケストラ、カンマーアカデミー・ポツダムが進めているシューベルトの交響曲全集のうち、2012年にリリースされた第一段、第3番と第7番「未完成」が収録されたアルバムを聴いたが、これは思わぬ掘り出し物だった。
マーラー・チェンバーオーケストラで長年コンサートマスターを務めた経験も手伝ってか、マナコルダは若いアンサンブルとともに、いわゆるピリオド・スタイルを援用した(ホルン、トランペット、ティンパニはピリオド楽器を使用)、清新な響きの音楽を生み出している。
第3番では、ロッシーニの喜歌劇を想起させるかのような明快で躍動感にあふれた両端楽章(音楽の流れを重視したのか、第1楽章では序奏部の繰り返しを行っていない)と第3楽章が聴きものだが、第2楽章の緩やかな部分での表情の変化もまた魅力的である。
一方、「未完成」交響曲では、従来のオーソドックスな演奏と比較すれば速めのテンポはとられつつも、作品の持つシリアスな要素、内面のひだのようなものが強く意識された演奏となっており、シューベルトの一連の歌曲にもつながる寂寥感を覚える。
カンマーアカデミー・ポツダムは、ソロ・アンサンブルともに優れた出来で、マナコルダの意図によく沿った演奏を行っているのではないか。
収録時間は46分程度と比較的短いが、内容の密度の濃さを考えれば全く不満はない。
録音もクリアであり、今現在のベーシックなシューベルト演奏に親しみたいという方には大いにお薦めしたい一枚だ。
2014年04月17日
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