☆モーツァルトのカルテット・パーティ
演奏:ウェラー・カルテット
(1967年3月、4月/アナログ・セッション録音)
<タワーレコード/DECCA>PROC-1401
ドイツの名指揮者ハンス・シュミット=イッセルシュテットの子息で、レコード・プロデューサーのエリック・スミスは、中でもモーツァルト作品に優れた企画を遺したが、この『モーツァルトのカルテット・パーティ』もスミスがDECCAレーベル在籍中に完成させた一連の企画のうちの一枚である。
モーツァルトの友人でアイルランド出身のテノール歌手、マイケル・ケリーの回想録中にある、ハイドン(第1ヴァイオリン)、ディッタースドルフ(第2ヴァイオリン)、モーツァルト(ヴィオラ)、ヴァンハル(チェロ)ら作曲家が弦楽4重奏を演奏したカルテット・パーティ(イギリスの作曲家、スティーヴン・ストーラスが1784年に開催)を再現したもので、モーツァルトの第3番ト長調、ハイドンの第3番ニ長調、ディッタースドルフの第5番変ホ長調、ヴァンハルのヘ長調が収録されている。
で、これがモーツァルトやハイドンの後期の作品となるとまた感想も大きく変わってくるのだろうけれど、いずれも古典派の様式に忠実なインティメートな雰囲気に満ちあふれた耳なじみのよい音楽に仕上がっており、甲乙がなかなかつけ難い。
艶やかな音色を誇るウェラー・カルテットも、音楽の緩急要所急所をよく心得た演奏で、そうした作品の持つ特性魅力を巧く表わしている。
マスタリング(ハイビット・ハイサンプリング)の成果もあってか音質も優れており、古典派の弦楽4重奏曲をオーソドックスな演奏で愉しみたいという方には安心してお薦めできるアルバムだ。
そうそう、このアルバムが嬉しいのは、カップリングもそうだけど、ブックレットにLPのオリジナルジャケットと同じデザイン(レーベルマークも含めて)がきちんと使用されていること。
オリジナルを歌いながら、オリジナルのジャケットデザインが斜めを向いて倒れたり、端のほうでちっちゃくなって縮こまっていたりするエセ・オリジナルCDをまま見かけるが、ああいうものは本当に見苦しい。
そもそもそういった部分にもこだわる人間だからこそCDを購入するわけで(そうじゃなきゃ、ネットでダウンロードすればすむ話だもん)、LPオリジナルには何も足さない、LPオリジナルからは何も引かないの基本姿勢で、レーベル側(企画者)にはのぞんで欲しい。
2014年04月10日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック