2014年02月09日

Quiet.Quiet. vol.1.0『現代版・卒塔婆小町』

☆Quiet.Quiet. vol.1.0 三島由紀夫 近代能楽集より『現代版・卒塔婆小町』

 原作:三島由紀夫
 上演台本・演出・舞台美術:辻崎智哉
(2014年2月9日15時開演の回/アトリエ劇研)


 京都出身で、長く東京で研鑚を積み、先頃再び京都へ戻って来た辻崎智哉が主宰する演劇ユニット、Quiet.Quiet.の第一回目の公演、三島由紀夫 近代能楽集より『現代版・卒塔婆小町』を観た。
 原作・三島由紀夫、上演台本・辻崎智哉とあるように、三島由紀夫のテキストをベースにしつつも、登場人物やエピソード等、辻崎君によって大幅に書き加えられ改められた、まさしく「辻崎版・卒塔婆小町」と呼ぶべき意欲的な作品に仕上がっていた。

 で、演者陣の均整のとれた演技もあったりして、小劇場人は新劇的なものと如何に向き合っていくべきなのか、なんてことまであれこれ考えつつ、興味深く観続けることができた。
 また、辻崎君の問題意識もよく伝わってきたし、作品の結構、登場人物の造形、さらには舞台美術において、いわゆる「類型」が巧く用いられているとも思った。

 ただ、特に中盤以降、音楽なども含めて感情表現が明確になってくるあたりから、三島由紀夫の性質と辻崎君のそれとの違い、齟齬もはっきりと表われてきたように感じられたことも事実だ。
 より詳しく言えばそれは、内面に病気を抱えていて、しかもそれが傍から見れば「あんた見え見えやん」と突っ込み入れられまくりな状態であるにもかかわらず、「俺は何にも抱えちゃいないよ、あっはっは」と嘘っぽく大笑いし、結果郎党引き連れて割腹自殺する三島と、「そりゃ悩みありまくりですわ、けどずっと悩み続けていてもしゃあないですよやっぱり、ほんと」という具合に演劇活動を続ける辻崎君の違いということになるだろうか。
 自分自身もそうだし、それより何よりお客さんに対して、「なんかようわからんでいーってなる」救いのない世界を与えることは避けたいという辻崎君の想いには充分納得いったのだけれど、あえて微糖の缶コーヒーや低糖のヨーグルトを選んだはずなのに、そこに黒砂糖や蜂蜜を加えてしまうといったしっくりしない感じが残ってしまったこともやはり否めない。
 今回の公演で示された辻崎君の美質長所が、次回以降の公演でさらに発揮されることを心から期待する。

 演者陣では、老婆役の片桐慎和子に何日もの長があったが、狂言回し的な役柄の御厨亮やピンク地底人6号をはじめ、大石英史(気になる存在だ)、河西美季(細かい感情表現が印象に残る)、大休寺一磨(美声)、野村明里(表情がいい)、川北唯(ちょっとだけ久我美子っぽい)、大原渉平(しようよとは一味違う演技)も、個々の長短はありつつも、それぞれの特性魅力を活かした演技で、辻崎君の作品世界に沿う努力を重ねていた。

 いずれにしても、辻崎君や演者陣のさらなる活躍を祈るとともに、Quiet.Quiet.の今後の活動に注目していきたい。
posted by figarok492na at 20:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 観劇記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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