監督・脚本:ハイファ・アル=マンスール
(2014年1月16日、京都シネマ・1、13時10分上映の回)
とても明快な作品だ。
どうしても自転車の欲しい10歳の少女ワジダがあの手この手を使って奮戦努力する…。
どうして彼女が自転車を欲しくなったのかも、どんなに彼女が自転車を手に入れることが難しいかも、どれだけ彼女が変わらないものに対して抗っているかも、手に取るようにわかる。
そしてそうしたあれこれがこれ見よがしの説教なんかじゃなくて、シンプルだけど安易じゃないストーリーだとか、コーランの引用だとか、映画的映像的暗喩(簡単に言うと、「絵」を通して伝えたいことを巧く伝えるってこと)だとかで表現されているのもよい。
物語の背景というか、家庭環境など主人公が置かれた状況にはさらに考えることもあったりして(それは、いわゆる欧米ではない地域の政治的社会的変革を誰が担うかってことともつながってくる。当然、僕たちにも無関係じゃない)、観てよかったと思える一本であることも確かだ。
主人公の少女を演じたワアド・ムハンマドはじめ、役者陣も役柄にぴったりで好演。
今の世の中に暗澹たる気分となっている人にこそお薦めしたい。
ああ、面白かった!
そうそう、邦題もシンプルだけど、原題はワジダとさらにシンプルである。
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