2014年01月15日

アレクセイ・リュビモフがフォルテピアノで弾いたモーツァルト

☆モーツァルト:ピアノ・ソナタ第4番〜第6番他

 独奏:アレクセイ・リュビモフ(フォルテピアノ)
(1990年1月/デジタル・セッション録音)
<ERATO>2292-45618-2


 ロシア(旧ソ連)出身のピアノ奏者アレクセイ・リュビモフがフォルテピアノを駆使して録音したモーツァルトのピアノ・ソナタ全集のうち、第4番変ホ長調KV282(189g)、第5番ト長調KV283(189h)、第6番ニ長調KV284(205b)の、デルニッツ男爵の依頼によって作曲されたいわゆる「デルニッツ・ソナタ」中の3曲と、アレグロKV400(372a)のつごう4曲を収めた第2集を聴いた。

 10代後半に書かれた長調のソナタということで、陽性かつ軽快な音楽となっているのだが、リュビモフの手にかかると、単に底なしの明るさではなく、そうした明るさの中からちょっとした表情の変化、ちょっとした翳り、ちょっとした含みのようなものがじんわりと浮き出してくる。
 特に第6番の長い終楽章、主題と変奏は、リュビモフの真骨頂というか、彼の音楽のとらまえ方さばき方の巧さがよく表われていて強く印象に残った。
 また、展開部にゾフィーとコンスタンツェ(モーツァルトの夫人コンスタンツェとその妹ゾフィーのことだろう)という言葉が書き込まれているアレグロの感情の迸りも面白い。

 フォルテピアノ(クロード・ケルコムによるヨハン・アンドレアス・シュタインのレプリカ)の細やかな音色ともども、音楽の愉しみに満ちた一枚だ。
posted by figarok492na at 23:06| Comment(0) | TrackBack(0) | CDレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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