2014年01月09日

生きている画像

☆生きている画像(1948年、新東宝、モノクロ)

 監督:千葉泰樹
 原作、脚本・脚色:八田尚之
 音楽:早坂文雄
(2014年1月9日18時半上映の回、京都文化博物館フィルムシアター)


 京都文化博物館のフィルムシアターでありがたいのは、おなじみ邦画の傑作名作とともに、「知る人ぞ知る」といった作品にも接することができるということなのだけれど、千葉泰樹監督の『生きている画像』がかかるというので、迷わず足を運んだ。

 『生きている画像』は、自身の作品『瓢人先生』を八田尚之が脚本化したもので、画家牧野虎雄をモデルとした瓢人先生や、彼の弟子で帝展等の万年落選画家田西と美砂子夫妻を中心に物語は進んでいく。
 で、メロドラマ的要素や大らかな滑稽さがドラマの中心を占めているのだけれど、その根幹にあるものはやはり、芸術や表現活動と如何に向き合っていくかということではないだろうか。
 作品の展開や設定にはどうしてもひっかかる部分もあるのだけれど、表現することの切実さが訴えられる場面では、強く心を動かされたことも事実だ。
(もしかしたらそこには、政治性を強めていた東宝へのアンチテーゼがこめられていたのかもしれないが。と、言うのも、新東宝の事のはじまりは、この作品の出演者である大河内傳次郎や藤田進、花井蘭子らによる「十人の旗の会」にあるわけだから)

 役者陣では、当然ながらまずもって大河内傳次郎。
 瓢人先生の優しさと厳しさ、飄々とした雰囲気を見事に出しきっていて、とてもしっくりとくる。
 また、田西役の笠智衆の小津作品とは異なるやってる感満載の演技や、惜しくも早世してしまった花井蘭子の清楚な美しさも印象深い。
 ほかに、芸術にとりつかれることの「怖さ」をユーモリスティックに演じてみせた河村黎吉(表情の変化が愉しい)をはじめ、古川緑波、藤田進、江川宇礼雄、杉寛、清川虹子、田中春男、鳥羽陽之助、清川荘司らも出演。

 そうそう、今月は「生誕100年記念 早坂文雄の映画音楽世界」という特集なのだけれど、メロドラマ的なシーンによく沿った甘やかな音楽を早坂文雄はつけていた。

 いずれにしても、古い邦画好きには一見をお薦めしたい作品である。
posted by figarok492na at 23:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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