2013年12月07日

活き活きとしたモーツァルト 二重奏&ソロの光と影

☆モーツァルト 未来へ飛翔する精神
 3・二重奏&ソロの光と影

 フォルテピアノ:アンドレアス・シュタイアー
 ヴァイオリン:佐藤俊介
(2013年12月6日19時開演/いずみホール 2階RB列20番)

 *招待


 今年度、いずみホールが企画主催している「モーツァルト 未来へ飛翔する精神」シリーズのうち、その第3回目にあたる、二重奏&ソロの光と影を聴きに行って来た。
 実は、応募ハガキを送って招待券が当たったからなのだけれど、3年ぶりのコンサートに、まずは「生の音楽ってやっぱりいいな」というのが率直な感想。
 そして、これは掛け値なしに愉しく面白いコンサートだった。

 あいにくケルン滞在時には聴き逃したアンドレアス・シュタイアーといえば、1996年10月2日・京都コンサートホールでの、クリストフ・プレガルディエン(テノール)とのシューベルトの『冬の旅』をすぐに思い起こすが、あの時同様、ソロを支えつつ、自らも鋭い読み込みであるは雄弁に語りあるは柔らかに優しく歌いと、見事な演奏を繰り広げていた。
(まあ、この当時のヴァイオリン・ソナタといえば、鍵盤楽器のほうに力点が置かれていたりもするんだけど)
 一方、ヴァイオリンの佐藤俊介も、抑えるところはきちんと抑えつつ、主張するところはしっかり主張して、シュタイアーとインティメートな雰囲気に満ちていながら、よい意味での距離感も保ったデュオを生み出していた。
 前半のK.303とK.304のソナタでは、作品の持つ性質にあわせてクラシカルなアプローチを心がけ、後半の「ああ、私は恋人をなくした」の主題による6つの変奏曲(終盤の追い込み)、K.306のソナタ(軽快で陽性)では、モダン楽器での蓄積を活かしてロマンティックな表情づけも行うなど、その才気を充分に感じた。

 また、前半の2曲目に、シュタイアーのソロで、ピアノ・ソナタ第8番イ短調が演奏されたが、急緩急というテンポ設定を明確に意識した劇性に富んだ音楽となっていた。
 楽器の特性(限界)もあって、正直スリリングな箇所もあったのだけれど、だからこそ楽曲の構造、音楽の造りがよく見通せたことも事実であり、しかもそれが単なる学識の提示に終わらず、作品の持つ感情面での変化、及びシュタイアー自身の強い表現欲求、作品との向き合い方と密接につながっている点に深く感心し深く感嘆した。

 いずれにしても、長調と短調を組み合わせるなどモーツァルトの作曲内容の如実な変化にも配慮した意欲的なプログラムも素晴らしく、生命感にあふれて活き活きとした音楽を愉しむことができ、本当に満足がいった。
 ああ、面白かった!

 なお、アンコールはK.380のソナタの第2楽章。
 使用楽器は、フォルテピアノが2002年製作のアントン・ワルター・モデル(1800年頃、ウィーン)のレプリカ、ヴァイオリンが2009年パリ製作のバロック・ヴァイオリンである。
posted by figarok492na at 01:13| Comment(0) | TrackBack(0) | コンサート記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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