☆チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」&幻想序曲『ロメオとジュリエット』
指揮:ヴァレリー・ゲルギエフ
管弦楽:サンクト・ペテルブルク・マリンスキー(キーロフ)劇場管弦楽団
(1997年7月/デジタル・セッション録音)
<PHILIPS>456 580-2
いつの間にかPHILIPSレーベルもDECCAレーベルに吸収され、何を今さら15年近くも前にリリースされたCDを、の感なきにしもあらずだが、ちょうど手元に悲愴交響曲と『ロメオとジュリエット』のCDがなかったこともあって購入した一枚。
まあ、50パーセント・オフに釣られたっちゃ釣られたんだけどね。
一言で表わせば、劇場感覚に満ちた演奏。
あと少し詳しく説明するならば、チャイコフスキーが歌劇『スペードの女王』や『エフゲニ・オネーギン』、そして三大バレエといった舞台音楽の優れた造り手だったことを教えてくれる演奏、ということになるだろうか。
まさしく、両作品の持つ劇性、音のドラマの要所急所をよく押さえた演奏である。
中でも、悲愴第3楽章など、あとに第4楽章が控えていることがわかっていても、生なら思わず拍手してしまいそうな迫力だし、第1楽章中盤の衝撃(トラック1の10分過ぎあたり)の決まり具合も見事というほかない。
また第1楽章第2主題や『ロメオとジュリエット』での美しい旋律の歌わせ方も堂に入っている。
ただ、悲愴の第4楽章や『ロメオとジュリエット』の強奏部分で特に感じることなのだけれど、技術的にどうこうというよりも、音楽のとらえ方、表現の仕方が大づくりというか、若干表面的な効果に傾き過ぎているように思われないでもなかった。
いずれにしても、「外省」的に優れた音楽づくりと演奏で、両曲をエネルギッシュでドラマティックな音楽の劇として愉しみたい方々には大いにお薦めしたい。
録音もクリアだ。
2013年10月24日
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