2013年10月03日

お互いの擦り合わせに期待 努力クラブ必見コント集『流したくない涙を流した』

☆努力クラブ 必見コント集『流したくない涙を流した』

 作・演出・構成:合田団地
(2013年10月2日19時開演の回/UrBANGUILD)


 ここのところ西村賢太の作品を立て続けに読んで、その韜晦と自己弁護、自分自身のカリカチュアがないまぜになった文「藝」に感嘆したのだけれど、京都小劇場でその西村賢太をはじめとした「私小説」書きの作家たちから強い影響を受けた劇の造り手を挙げろと言われれば、僕はすぐさま合田団地の名を思いつく。
(と、言って、月面クロワッサン製作・KBS京都放映のテレビドラマ『ノスタルジア』で、合田君が演じた作家の名前が合田賢太というのには、いささかストレートに過ぎるかなとも思いはしたが)
 一連の作品、特に前回の本公演の『家』など、佐々木峻一演じた主人公を中心とした作品世界には、どうしても先述したような散文作品との共通性を感じたものだ。
 そして、本公演とは別に「笑い」に特化したはずの今回の必見コント集『流したくない涙を流した』でも、コインの裏表というか、そうした合田君の表現のあり様が如実に示されていた。
 もちろん、そこは必見コント集と名乗るだけあって、シュール、ナンセンス、馬鹿馬鹿しさ、すかし、メタ等々、笑いや演劇的仕掛けが随所に盛り込まれていたことも確かで、しめて20本のコントのうち、いくつかのコントではつい大きな笑い声を上げてしまったほどだ。

 ただ、そうした合田君の諸々の仕掛け、様々な狙いがきっちりかっちりやんわりゆんわりと決まっていたかと問われると、残念ながら思い通り狙い通りと言うわけにはいかなかったのではないか。
 そしてそれは、無理を承知で攻めに出て失点したという挑戦の結果でもあるだろうが、一方で、合田君のテキストと演者陣との齟齬が関係していることもまた大きな事実だろう。
 佐々木君、猿そのもの、無農薬亭農薬、稲葉俊、川北唯、木下ノコシ、笹井佐保、廣瀬信輔と、キャストは一部異なるものの、それは前回の『家』とも通じるものである。

 付け加えるならば、そのような齟齬は、単に技術的な問題ばかりでなく、個々の演者の立ち位置、さらには全員とまでは言わないが精神面で抱える様々な懊悩と直結しているように僕には思われてならなかった。

 合田君の仕掛け、狙い、世界観(例えば、合田君自身が演じた「9月13日」のような、西村賢太流の自己諧謔に満ちた)を演者陣がどう細やかに汲み取っていくか、逆に演者陣の得手不得手特性魅力を合田君がどう巧く加減していくか。
 つまるところ、お互いがお互いのあり様をどう擦り合わせていくか。
 それがクリアされていくことで、コント集も本公演も、より面白さが増していくものと考える。

 いずれにしても、努力クラブの今後のさらなる変化を期待したい。
posted by figarok492na at 04:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 観劇記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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