2013年08月11日

ミナモザ #14『彼らの敵』

☆ミナモザ #14『彼らの敵』

 作・演出:瀬戸山美咲
(2013年8月10日19時開演/元・立誠小学校音楽室)


 東日本大震災からちょっと前の2011年1月に、旧知の松田裕一郎さんの誘いで松田さんが出演する田上パルの公演を東京(公演自体は、埼玉県富士見市のキラリ☆ふじみで開催)まで観に行った際、翌日の昼にも何かお芝居を観ておこうと僕は算段した。
 初めは、新国立劇場の『大人は、かく戦えり』を狙ったものの、これは当日のキャンセル待ちも絶望的ということで諦め、さてどうするかと頭を捻る、ではなく、シアターガイドを捲ったところ、初台からそれほど遠くない三軒茶屋のシアタートラムでミナモザの『エモーショナルレイバー』がかかっていることがわかった。
 東京の演劇事情に疎いゆえ、ミナモザのことなんてちっとも知りはしなかったが、ぴぴんとひっかかるものがあって、自分のこういった勘は信じて間違いなしと観に行ったんだけど、案の定これが観て正解。
 なかなかに面白い公演だった。
 で、その詳細はそのときの観劇記録をご参照のほど。
 そうした好印象のミナモザが京都で公演を行うということをつい数日前に知って(制作、何やってんの!!)、おっとり刀で元立誠小学校へかけつけた。

 で、ミナモザにとって第14回目の公演となる『彼らの敵』は、彼女彼らの舞台写真をこの10年間(3回目の公演以降)撮影し続けている写真家の服部貴康さんをモデルとした作品だ。
 早稲田大学在学中、サークル仲間とパキスタンでカヌーくだりに挑んだ服部さん(作中の坂本)は、ダコイトと呼ばれる現地の強盗団に誘拐される。
 44日後に無事解放された服部さんたちだったが、誘拐中の週刊文春による歪曲された報道によってバッシングの嵐に見舞われる。
 ところがそんな服部さんが、週刊現代のカメラマンとなって…。
 と、ここから先は、劇場で直接ご覧いただきたい。

 正直、舞台以外の出来事もあってしばらくのれないままだったのだが、作品の力だろう中盤以降、ぐいぐいと引き込まれ、観終わったときには、ああ観ておいてよかった、正解だったという気持ちに変わっていた。
 いわゆる「社会派」といくくくりで語られる作品だろうし、実際、個人が社会とどう向き合っていくかという大きな問いかけをはらんでもいるのだけれど、『エモーショナルレイバー』同様、滑稽味や諧謔味も少なくないし、これまた『エモーショナルレイバー』と同じく、一方的にどちらが善でどちらが悪と決めつけるのではなく、登場人物間の会話(対話)によって、観る側の思考と思索を喚起するなど、瀬戸山さんのバランス感覚が巧く発揮されているように感じた。
 特に、坂本にとって小さからぬ転機となる喫茶店のシーンや、坂本と女性ライターとのやり取りが強く印象に残った。

 演者陣は、本日2回目の公演ということもあってか若干の傷や抜けはあったが、坂本役の西尾友樹はじめ、なべて作品世界に沿った熱演好演だった。
 菊池佳南、山森大輔、浅倉洋介、大原研二、中田顕史郎の役の演じ分けも、今回の観物だと思う。

 いずれにしても、ああ、面白かった!
 次回の京都公演が本当に待ち遠しいし、そのためにも多くの方々にぜひ明日の公演をご高覧いただければと心から願う。


 そうそう、はじめのほうに冗談めかして書いたけど、元・立誠小学校での公演ということ自体そうだし、公演の周知徹底もそうだし、制作面でいろいろと反省点があるのではないか。
 僕にはそう思えてならないのだが。
posted by figarok492na at 00:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 観劇記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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