2013年01月01日

イッパイアッテナ

☆イッパイアッテナ


 2013年が明けてすぐ、阿部潤さんと小林由実さんがイッパイアンテナを退団することを、イッパイアンテナのツイートで知った。
 ここ数年、イッパイアンテナのファンを自認公言してきた人間だけに、二人の退団は、とても残念なことだ。
 しかしながら、まさかこのタイミングでという驚きはありつつも、二人の退団が寝耳に水だったかというと、実はそうではない。
(加えて、同じくイッパイアンテナのツイートにあったように、阿部さんや小林さんがイッパイアンテナの他のメンバーと関係を悪化させたものではないだろうことも想像に難くない)
 そこら辺りのことを得手勝手に書き連ねると、徒に誤解を生むことにもなりかねないので、ここでは今回退団を決めた二人のことにできるだけ絞って、少し感じたことを記しておきたいと思う。

 阿部さんとは、以前一度ゆっくり話をしたこともあるので、その人柄はある程度わかっている。
 例えば、Factory Kyotoの代表、松山孝法君が戦闘戦略戦術の意味合いもあって太宰治的な行き方を志向しているとすれば、阿部さんはよりナイーヴな無頼派というか、同郷の石川啄木や宮沢賢治を思わせる弱さと強さ、柔らかさと頑なさの持ち主だと思う。
(と、言っても、聖人君子などではなく、生身の人間の煩悩と日々向き合っていることも事実で、『バードウォッチングダイアリーズ』で、クールキャッツ高杉君はそうした点も鋭く突いていたように感じた)
 だから、自分自身の来し方行く末とイッパイアンテナの今後のあり様を考えに考えた末、さらに諸々が重なって、退団を決めたのだろう。
 正直、その決断に思うところはないわけではないが、やはり事ここに到るまでのあれこれを想像すれば、それも仕方のないことと諦めるしかない。
 もし今後も阿部さんが演劇活動を継続するというのであれば(そうあって欲しいし、そうあるべきだ)、阿部さんにはぜひとも井上ひさしの作品に真正面から取り組んで欲しい。
 なぜなら、それが今の阿部さんにぴったりしっくりくるように、僕は考えるからだ。
 阿部さん、またゆっくりお話しましょう!
(あえてアルコール抜きで)

 小林さんの場合は、衛星やユニット美人への客演が大きな契機となったのだろう。
 実はそれ以前から、イッパイアンテナの他の面々と彼女の演技の質感の違いを感じてはいた(それは、京都ロマンポップ時代の浅田麻衣さんのそれと似ている。というか、同志社と立命館という関係でいえば、二人は真逆の立場にあった)から、客演後、中でも『ドリリズム』での彼女の雰囲気の大きな変化(イッパイアンテナの作品世界にとっては、過剰な色気と言ってもよい)をあわせて考えれば、今回の退団は予想できなかったことではない。
(イッパイアンテナのときとは異なる、ユニット美人でのトリックスターぶりは、強く印象に残っているし)
 ただ、だからこそ、小林さんには無理に「コメディエンヌ」を目指して欲しくないな、というのが僕の本音だ。
 そして、このことでは由実さんばかりでなく、真弓(まゆみ)さんの「二人の小林さん」について記してみたいのだけれど、ここではあえて省略する。
(と、いうか極言すれば、今の京都の小劇場で真の「コメディエンヌ」は存在しないと思う。「コメディエンヌ」とは言えないかもしれないが、もしかしたらそれと同じような存在になり得るのは、地点の安部聡子さんかもしれない。あと、可能性としては愉快犯の笹井佐保さんとか)

>コメディエンヌは、変な顔などで笑わせてはいけません。
 よく見ると美人なのだけれども、「そこはかとなくおかしい」のが必要条件です<
(小林信彦「金曜の夜は忙しい」、『女優はB型』<文春文庫>所収)

 急がば回れでないけど、僕は小林由実さんのシリアスで、救いのない役回りでの演技を観てみたい。
(『バードウォッチングダイアリーズ』でもその片鱗が表わされていたような)
 柳沼昭徳さん(残念ながら、黒木陽子さんの演技は未見とはいえ)や柏木俊彦さんとの共同作業などどうだろう?

 感じ想い考えることが、いっぱいあって、結局書かでもがなのことまで書き散らかしてしまった。

 いずれにしても、阿部さん、小林さんの今後のさらなる活躍を心より祈願するとともに、イッパイアンテナの今後のさらなる活躍も心より祈願したい。
posted by figarok492na at 15:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 観劇記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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