2012年12月27日

11月、12月の京都小劇場の公演を振り返って

 最近、若手の活躍台頭が著しい京都小劇場だが、松田正隆さん、鈴江俊郎さん、土田英生さんという三人の先達の次代を担う30代半ば以降の演劇人たちも、着実にその進化を遂げているように、僕には感じられる。
 特に、2012年も最終盤となる11月から12月にかけては、彼女彼らの本領が十二分に発揮された公演が目白押しだったのではないだろうか。

 まず、11月はじめのトリコ・Aプロデュースの『ROUVA −ロウヴァ−』(文化庁芸術祭賞新人賞受賞)は、山口茜さんの表現の大きさ厚みを改めて感じさせる作品となっていた。
 京都公演の初日に観劇したこともあり、できれば八尾での再演を観ておきたかったのだが、これはまあ仕方あるまい。
(そういえば、先述した文化庁芸術祭賞新人賞受賞のことをネットで調べていたら、同じ山口さんの作品『ポストムーミン』に出演していた戸谷彩さんのブログを見つけた。彼女とは、だいぶん前に劇団テンケテンケテンケテンケの制作を手伝った際に、いっしょの現場になったことがあるが、こういう軽めの面白い文章を書く人とは思っていなかった)

 一方、ちょうど同じ時期、壱坪シアターでは、トランポリンショップとソノノチの「ロングラン」公演として、田辺剛さんの『Tea for Two』が上演されていた。
 あいにくトランポリンショップのほうのみの観劇になったのだけれど、これは、田辺さんの劇作家としての腕のよさ、職人ぶりがよくわかる作品だった。
 田辺さんには、今後も硬軟柔剛バラエティに富んだ戯曲をぜひとも書き分けていって欲しい。
 その意味でも、来年2月の下鴨車窓の『煙の塔』が非常に愉しみである。

 11月後半の正直者の会.lab『ライトスタッフ』は、自らが講師を務めたアクターズラボの公演クラスの受講生との関係性も含めて、田中遊さんの表現者としての真っ当さが表わされた公演であり作品だったのではないか。
 正直者の会で試みてきた諸々の表現の実験が、伝えようとすることやものと見事に重なり合って、強く心を動かされた。
 正直者の会とともに、正直者の会.labでの田中さんの活動にも大いに注目していきたい。

 そして、12月に入ってからの、ニットキャップシアターの『Strange』では、ごまのはえさんの表現意欲の強さに加え、表現者としての覚悟とニットキャップシアターというアンサンブルを率いる者としての覚悟を「観る」想いがして、感無量だった。
 ダンスや音楽の援用と、観どころも豊富で、来年2月の東京公演をぜひとも多くの皆さんにご覧いただければと思う。

 また、12月のはじめには、昨年末惜しまれつつも無期限活動停止を決定したベトナムからの笑い声の黒川猛さんによるソロ・パフォーマンス・ライヴ、『THE GO AND MO’S』が一区切りをつけた。
 中川剛さん、丸井重樹さん、宮崎宏康さんらの応援もあり、様々な厳しい条件下、隔月コンスタントにライヴを開催し続けた黒川さんに改めて大きな拍手を贈るとともに、定期的な企画の再開を強く願う。
(なお、来年3月には、大阪ウイングフィールドで総決算となる公演が予定されている。これは観逃せない!)

 あと、こうした中に、花田明子さん(三角フラスコ)や山岡徳貴子さん(魚灯)のお名前を加えることができないのは、10年以上にわたって京都の小劇場に接し続けてきた人間にとっては、どうにも残念でならないことだけれど、これは言っても仕方のないことでもある。

 いずれにしても、ここに挙げた方たちをはじめ、30代半ば以降の演劇人たちの来年度の一層のご活躍ご健闘を心から期待したい。
posted by figarok492na at 11:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 観劇記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック