2012年12月17日

クールキャッツ高杉のイッパイアンテナジャック『バードウォッチングダイアリーズ』

☆クールキャッツ高杉のイッパイアンテナジャックvol.2
 『バードウォッチングダイアリーズ』

 脚本・演出:クールキャッツ高杉
(2012年12月16日18時30分開演の回/スペース・イサン)


 イッパイアンテナの旗揚げメンバーであるクールキャッツ高杉が企画・脚本・演出をつとめ、劇団の乗っ取りを狙う(?)、クールキャッツ高杉のイッパイアンテナジャックvol.2『バードウォッチングダイアリーズ』を観た。
 上演時間が110分と開演前に耳にしたときは、生理現象への危機感もあって、「えっ!?」と思ったのだけれど、いやあなんのなんの、2時間弱があっという間に終わっていた。

 チラシの「心にいつも鳥カゴ」という惹句と、「まず言っておかなければならない。これは僕と、僕の兄の恋愛に関する物語である」という言葉が、作品全てを言い表わしているんじゃないのかな。
 いや、それだとちょっとだけ不親切か。
 これまたチラシの梗概を引用すれば、背中に羽を持って生まれたある男と弟にその家族、そして彼彼女らの友人知己たちによる群像劇、とまとめることができるかもしれない。

 これまでの演劇的経験(だから、ピンク地底人3号や三鬼春奈の出演も必然と言える)や、映画などからの影響をしっかりと咀嚼しつつ、クールキャッツ高杉の人生観や世界観が、上述した登場人物たちの交差交流、生き死にを通してテンポよく描き込まれていたのではないか。
 下ネタを含む笑いの仕掛けもふんだんに施されていて、シリアスな場面やリリカルな場面とのコントラストをよく造り出していたと思う。
 いずれにしても、クールキャッツ高杉の今やりたいこと今やるべきと思うことがやり尽くされた作品に仕上がっていた。

 それと、企画の趣旨から考えれば当然のことだが、この『バードウォッチングダイアリーズ』は、自ら舞台に立つ演技者の手によって造られた作品だということを強く感じた。
 それは、円錐の頂点や円の中心でなく、円を形作っている輪の中の一人によって造られた、という風に言い換えてもよいかもしれない。
 ただここで付け加えておきたいことは、それが仲間内の慣れ合いなどではなく、演者陣の不得手にさえも留意して役柄が割り当てられていたばかりか、その内面にまでもけっこう踏み込んだ作劇結構になっていたように思われたことだ。
 その意味で、演者陣にとっては精神的な負荷が相当かかる公演であり舞台であったはずだけれど、今後のイッパイアンテナのあり様、方向性を考えていく上ではそれもやはり大切な作業であったように、僕は考える。
 ライヴ特有の傷はありつつも、イッパイアンテナの面々に先述した二人のほか、野村侑志、川北唯の客演陣は、クールキャッツ高杉の意図によく応えた演技を披歴していた。

 それにしても、『バードウォッチングダイアリーズ』ってタイトルもいいな。
 そこに様々な想いがこめられているようで。

 そして、今回の公演を受けたイッパイアンテナの次回本公演、大崎けんじ作品(崎は、本当は大ではなく立)も愉しみにしたい。

 ああ、面白かった!
posted by figarok492na at 01:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 観劇記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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