2012年12月14日

ヘンゲルブロックが指揮したドヴォルザークの交響曲第4番とチェコ組曲

☆ドヴォルザーク:交響曲第4番&チェコ組曲

 指揮:トーマス・ヘンゲルブロック
管弦楽:ハンブルクNDR交響楽団
(2012年6月/デジタル・ライヴ録音)
<SONY/BMG>88725464672


 ピリオド楽器のアンサンブル、フライブルク・バロック・オーケストラやバルタザール・ノイマン・アンサンブルに、モダン楽器の室内オーケストラ、ドイツ・カンマー・フィルと精力的な活動を続けてきたトーマス・ヘンゲルブロックのハンブルクNDR響の新しいシェフへの就任は、ヨーロッパにおけるピリオド・スタイルの隆盛を象徴する出来事の一つだと思う。
(と、言っても、すでに20年以上前にハンブルクNDR響はジョン・エリオット・ガーディナーをシェフに迎えていたのではあるが)
 そして、あいにく聴きそびれてしまったものの、今年の来日公演は、ヘンゲルブロックとハンブルクNDR響の相性のよさを発揮した非常に充実した内容だったと伝えられている。

 ヘンゲルブロックとハンブルクNDR響にとって二枚目のアルバムとなる、ドヴォルザークの交響曲第4番とチェコ組曲(ちなみに、同じドヴォルザークの交響的変奏曲やブラームスのハンガリー舞曲の抜粋とともに、先述したガーディナーもドイツ・グラモフォンにこの曲を録音している)も、そうした両者の好調ぶりがよく表われた演奏となっているのではないか。
 ピリオド・スタイル云々もそうだけど、それより何より、二つの作品の持つ力感、劇性、抒情性、歌謡性が、テンポ感よくメリハリのきいた解釈で細やかにとらえられていて、実に聴き心地がよい。
 ドヴォルザークの音楽に一種の泥臭さを期待して物足りなさを感じるむきもあるかもしれないが、交響曲の第2楽章をはじめとしたワーグナーとの関連性などにもしっかり目配りの届いたクリアな音楽づくりに、僕は好感を抱く。

 ライヴ録音ゆえ、若干こもった響きなのが残念といえば残念だけれど、作品や演奏を愉しむという意味では、まず問題はない。
 ドヴォルザークの交響曲第4番なんて知らないという方や、チェコ組曲って『のだめ』のドラマで使われてなかったっけという方にも大いにお薦めできる一枚だ。
 ヘンゲルブロックとハンブルクNDR響には、ぜひともドヴォルザークの他の交響曲、中でも第5番や第6番を録音してもらいたい。
posted by figarok492na at 16:34| Comment(0) | TrackBack(0) | CDレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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