☆ニットキャップシアター 第32回公演『Strange』
作・演出:ごまのはえ
振付:佐藤健大郎
照明:葛西健一
音響:三橋琢
(2012年12月13日19時開演/アトリエ劇研)
ニットキャップシアターにとって第32回目の本公演となる、ごまのはえの新作『Strange』のプレビュー公演を観た。
来週火曜日まで京都公演が続き、さらには来年2月1日〜3日に下北沢のザ・スズナリでの東京公演が予定されていることもあって、あえて詳しい内容については触れないが、これは観に行って大正解の作品であり、公演だった。
と、言うのも、ごまのはえという劇作家・演出家の、演劇という方法を用いながら今現在表現すること(何を?どのように?)への強い意志や覚悟、疑問、葛藤、冒険、切実さが、「第一部 垂直移動編」、「第二部 平面移動編」、「第三部 直角交差編」の三部構成の物語を通してはっきりと示されていたからだ。
『Strange』というタイトルや三部の名称(ただし、この名称はまた、その内容を読み解く大きなヒントともなっているのだけれど)からもわかるように一筋縄ではいかない展開で、各部のブリッジの間に感じ取ったものを反芻してみる必要があるだろうし、ごまさんの様々なせめぎ合いが作品の結構に表われているようで、ときにスリリングにすらあるのだけれど、全編観終えたときの余韻感慨充手応え観応えは非常に大きい。
加えて、これまでの一連の作品でも試みられてきたダンス(今回の公演にも出演している佐藤健大郎の存在を忘れてはなるまい)や音楽、ごまさんが接してきただろう過去の創作物、マイクパフォーマンスといった現代の潮流となっている演劇的な手法技法の使用援用も、さらに洗練されて精度を増しているように感じられた。
初日ということで、まだまだ粗さは残っていたものの、客演の佐藤さんや黒木夏海を含む演者陣のアンサンブルのよさも、回を重ねるごとにこの『Strange』の観どころの一つに数えられることとなるのではないか。
おなじみ、ごまさんはじめ、市川愛里、織田圭祐、門脇俊輔、澤村喜一郎、高原綾子、藤田かもめのニットキャップシアター・メンバーに、新たに山岡未奈(ちょっと柳原加奈子を思わせる風貌で、柳原さん同様に回転が早くて芯の強そうな演者さんだ)が加わって、今後がますます愉しみだ。
いずれにしても、ぜひ多くの方にご覧いただきた作品であり、公演である。
ああ、素晴らしかった!
2012年12月14日
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