☆ベートーヴェン:交響曲第5番&第6番「田園」
指揮:ジョヴァンニ・アントニーニ
管弦楽:バーゼル室内管弦楽団
(第5番=2008年7月、第6番=2009年7月/デジタル録音)
<SONY/BMG>88697648162
イタリアのバロック・アンサンブル、イル・ジャルディーノ・アルモニコのリーダー、ジョヴァンニ・アントニーニがスイスのバーゼル室内管弦楽団と進めているベートーヴェンの交響曲集の最新盤(と、言っても、2010年のリリースなんだけど)にあたるのが、この第5番と第6番「田園」を収めた一枚だ。
バーゼル室内管弦楽団は、もともとモダン楽器による室内オーケストラなのだが、最近ではピリオド楽器もお手のものの両刀使いに変貌している。
詳しいところまではわからないけれど、たぶんこの演奏でも、ピリオド楽器が多数を占めているのではないか。
演奏そのものも、ピリオド・スタイル、と言うよりアントニーニお得意のバロック・ロック、バロック・アクロバティックな雰囲気の強い、メリハリがよくきいて、スピーディーなものとなっている。
推進力抜群な演奏だから、聴いていて全くだれないが、第5番の第1楽章や第2楽章など、ちょっとばかしすかっとし過ぎというか、あれよあれよという間に楽章が終わってしまって、若干味気なくもなくはない。
逆に、「田園」のほうは、アントニーニのテンポのよい音楽づくりが、作品の持つ活き活きとした感じ、快活さ、精神的な喜びを十全に描き表わしているようで、心がうきうきしてくる。
(と、なると、リズム感が一層命となる第7番や第8番の録音も大いに期待できるところだが、果たして全集につながってくれるのか、どうか)
いずれにしても、清新な演奏で、ベートーヴェンのくどさが苦手という方には特にご一聴をお薦めしたいCDだ。
2012年12月11日
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