2012年10月09日

カラヤンが指揮したブラームスの交響曲第2番とハイドンの主題による変奏曲

☆ブラームス:交響曲第2番&ハイドンの主題による変奏曲

 指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
管弦楽:ベルリン・フィル
(交響曲=1986年6月、変奏曲=1983年2月/デジタル・セッション録音)
<ドイツ・グラモフォン>423 142-2


 昔ほどではないけれど、それでもヘルベルト・フォン・カラヤンといえば、今でも20世紀を代表する指揮者、音楽家の一人として多くの方々に知られているのではないだろうか。
 で、前回とり上げたレオポルド・ストコフスキーと同じくカラヤンもまた、と言うよりも、ストコフスキー以上にレコード録音(テクノロジー)と密接に結びついた人物で、コンパクトディスクの開発に、彼が大きく寄与したことは有名である。
 ただ、ストコフスキーが最晩年にいたるまで進取の気質というか、演奏そのものにおいても若々しさと瑞々しさを失わなかったのに対して、カラヤンの場合は年齢を重ねるごとに、よくも悪くも「保守化」していったように、僕には思われてならない。

 ちょうどストコフスキーのBOXセットに収められていたブラームスの交響曲第2番を聴き比べてみれば、そのことがよくわかる。
 確かに、アンサンブルとしての練れ具合ではベルリン・フィルのほうが何日もの長があって、全体的にとても安定した出来となっている。
 ただ、カラヤンの演奏には、老舗の新劇の劇団が老巧の演出家の下でルーティンな演技を繰り広げているといった趣もないではない。
 テキストの解釈として全く間違ってはいないし、まとまりもいいんだけれど、予定調和的ではっとする瞬間が少ないというか。
 もちろん、旋律の磨かれようは抜群だから、音楽に安定した美を求める方には、厭味ではなく大いにお薦めしたい。
 ハイドンの主題による変奏曲も、至極穏当な演奏だ。
posted by figarok492na at 19:30| Comment(0) | TrackBack(0) | CDレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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