☆フランチェスコ・ザッパ:6つの交響曲集
指揮:ヴァンニ・モレット
管弦楽:アタランタ・フーギエンス
(2008年5月/デジタル・セッション録音)
<DHM ドイツ・ハルモニアムンディ>88697901562
ザッパといえば、なんと言ってもフランク・ザッパだが、ザッパはザッパでもここでとり上げるのは、18世紀後半に活躍したイタリアの作曲家フランチェスコ・ザッパの6つの交響曲のCD。
で、このフランチェスコ・ザッパ、実はフランク・ザッパがたまたまその存在を見つけ出した人物で、1984年にはその名もずばり『フランチェスコ・ザッパ』というタイトルのアルバムまでリリースされている。
(フランチェスコの室内楽を電子楽器で演奏したものだそうだが、残念ながら未聴)
ブックレットその他を紐解くと、フランチェスコという人はどうやら1763年〜1788年頃、ミラノをはじめイタリアを中心にヨーロッパで活動したチェロ奏者兼作曲家らしく、若干の作品が遺されているようだ。
(ここら辺、それこそ大ザッパな説明で失礼)
そんなフランチェスコの6つの交響曲をまとめて再現して聴かせたのが、ヴァンニ・モレットとイタリアのピリオド楽器アンサンブル、アタランタ・フーギエンス。
(ちなみに、モレットは電子音楽の作曲家でジャズ・ベース奏者としても活動しているというから、フランク・ザッパの影響を想像することも容易だ)
古典派時代にミラノで活躍した作曲家の交響曲=シンフォニアを継続的に録音している彼彼女らにとって、今回のアルバムがちょうど5枚目のリリースにあたるのだけれど、いやあ、これはとっても聴き心地がいいな。
変ホ長調、ト長調、変ロ長調、ハ長調、ニ長調、変ホ長調、と、いずれも長調の作品が並んでいるのだが、アタランタ・フーギエンスの快活で歯切れのよい軽やかな演奏が、作品の持ついきいきとした感じをよく表わしていて、実に愉しい。
加えて、緩やかな第2楽章での叙情性や歌唱性も魅力的だ。
また、ニ長調の第2楽章(トラック14)でのチェロ独奏など、フランチェスコ・ザッパのプレーヤーとしての活動を考える上でも非常に興味深い。
(なお、このアルバムでは、第1ヴァイオリン・3、第2ヴァイオリン・3、ヴィオラ・1、チェロ・2、コントラバス・1、オーボエ、ホルン、フルート・各2、チェンバロ・1という編成がとられている)
フランク・ザッパ云々はひとまず置くとして、古典派が好き、明るくてのりのよい音楽が好きという方には、大いにお薦めしたい一枚である。
*追記
変ロ長調、ニ長調の2曲には、サイモン・マーフィー指揮ニュー・オランダ・アカデミーの録音<ペンタトン・レーベル>もあるが、ちょっと重たい感じのする演奏で、モレット&アタランタ・フーギエンスの演奏のほうが僕の好みには合っている。
2012年09月28日
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