☆ユニット美人の三国志vol.1『ピーチの園でつかまえて』
作・演出:黒木陽子
(2012年8月13日、KAIKA)
いまどき流行らない言葉だが、いわゆる教養としてなら『三国志』(原典というか、歴史書のほう)に接したことがある。
ついでに、『三国志演義』にも触れたことがあって、大まかな流れや大まかな登場人物程度なら一応記憶はしている。
ただね、そこから先となるとどうも。
三国志フリークのおのこめのこのお話を愉しく拝聴はするが、それじゃあ自分もフリークを目指すかというと、いやまあ、そこはお任せしますてな具合だ。
(そういや、世代だだかぶりの『ガンダム』だって、ほとんど知りゃしないんだよね…)
で、劇団衛星の黒木陽子に紙本明子、制作の福原加奈による団内ユニット、ユニット美人がその三国志をとり上げると聴いたときは、ははあん、さてはマニアックでモノマニアックな話になるんやろねと見当をつけていたのだけれど、これが全く見当違い。
篠田節子の『女たちのジハード』ならぬ、ユニット美人たちのジハード、と言ったらちょっとずれてるかな。
これから都合三回のシリーズが待っているのであえて詳しい内容には触れないものの、『三国志』に巻き込まれた33歳のOL粥見を主人公に、『三国志』ってむっちゃ人気やけどこことかここってほんまこんなんなんといった素朴でユニークでシュートな視点から、コミカルなでもときにシリアスな三国志の世界が造り上げられていく。
そして、粥見はもちろんのこと等身大の『三国志』の登場人物たちの姿が、現代を生きる私たち自身の姿にぴったりと重なって来て、どうにもいとおしくて仕方がない。
特に、そうした作品の趣向というか志向がはっきりと見え始めた中盤少し前あたりから、おっとぐっと心をつかまれた。
演者陣では、粥見役の紙本さん、張飛役の黒木さんに何日もの長があって、やはりさすがだなと感心したのだけれど、客演勢、劉備役の金乃梨子、その他大勢の小林由実(イッパイアンテナとは一味異なる奮戦奮闘。女性のみのアンサンブルならではのコメディーリリーフぶりだった)も、キャスティングの妙もあって各々の特性個性をよく発揮していたのではないか。
中でも関羽役の生方友理恵は、技術の巧拙はひとまず置くとして、よい意味での生硬さや誠実な雰囲気が強く印象に残った。
いずれにしても、今後どのようにユニット美人版三国志は展開していくのか?
次回以降の公演が愉しみである。
ああ、面白かった!
2012年08月13日
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