2012年06月17日

ウィーン弦楽6重奏団が演奏したドヴォルザークの室内楽曲

☆ドヴォルザーク:弦楽6重奏曲&弦楽5重奏曲第3番

 ウィーン弦楽6重奏団
(1991年4月/デジタル・セッション録音)
<EMI>CDC7 54543 2


 ボヘミアの郷愁。
 なんて言葉を口にすると、あまりにべた過ぎて、陳腐だなあと思ってしまうけど、ドヴォルザークの作品、特に室内楽のゆったりとした楽章、だけじゃなくて第1楽章ののびやかで快活な音の流れを耳にしていると、ついついそんな言葉を口にしてしまいたくなる。
 一方で、ブラームス譲りというか、がっちりきっちりした音楽の造りもそこにはわるわけだし、さらにはクルト・シュナイダーの爆発者よろしく、突然の血沸き肉躍る、ならぬ血沸き頭沸く感情の爆発もドヴォルザークの音楽には含まれている。
 だから、一つ間違うと、分裂気質丸出しのいっちゃった演奏にだってなりかねないのだけれど、ボヘミアの郷愁をひとまず脇に置いたウィーン弦楽6重奏団は、よく練れたアンサンブルを活かして、速いテンポでスマートにクリアにそこら辺りをクリアしていく。
 例えば大好きな6重奏曲の第1楽章など、スメタナ・カルテット他による演奏と比べれば若干塩辛いというか、情より理という感じもしなくはないが、ドヴォルザークの作曲家としての普遍的(と、言っても、それは中欧を中心としたヨーロッパ内におけると限定すべきかもしれない)な力量を識るという意味では、充分納得のいく一枚である。
(こうした演奏には、ニコラウス・アーノンクールとの活動やモザイク・カルテットで知られるヴァイオリンのエーリヒ・ヘーバルトの存在も大きいのではないか)
 中でも、室内楽好きの方にはお薦めしたい。
posted by figarok492na at 16:36| Comment(0) | TrackBack(0) | CDレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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