☆月面クロワッサンVol.4『夏の目撃者』(再見)
脚本:作道雄、丸山交通公園
演出:作道雄
(2012年6月11日、元立誠小学校職員室)
*劇団からの招待
土曜日の昼の公演を観劇したが、作道君より作品の手直しがあったのでもしよかったらという嬉しいお誘いに加え、喜劇はできれば二度観たほうがいいという考えもあって、月面クロワッサンの『夏の目撃者』の最終回を観に行った。
確かに、テキストのほうにもはっきりとわかる変更があったし、公演を重ねて演者陣のアンサンブルもよく練れてきたように感じた。
お客さんの反応もなかなかで、ツボごとに笑いを誘っていたのではないだろうか。
個人的には、丸山君の悲壮感すら漂う熱演が印象的で、特に舞台上の美術=病室入口のカーテンを落としてしまうというハプニングの際のアドリブには、大喜利その他での彼の真骨頂を観るようで、ついつい笑い声を上げてしまった。
一方で、根本的な部分では、前回記したようなことを改めて感じたことも残念ながら事実である。
(だから、あえて繰り返さない)
それに、作道君や丸山君にも話したが、女性陣の描き方も含めてより細やかさ、より丁寧さが必要なのではないかと僕は感じた。
いや、こう書くと単に技術的な範囲、手の範囲だけの問題となりそうだけれど。
作道君が丸山君のように、内面のどろどろとしたものをストレートに表現したくない、三島由紀夫じゃないけれど、内面の病気を歯噛みしてでも見せたくないというのなら、テキスト・演出ともにより徹底的に磨き上げ、より隙なく造り上げていったほうがいいと思う。
たとえ、それでも透けて見えるものはあるにせよ。
ただ、僕自身は、作道君も大切な人を失った喪失感以外の自分の内面にあるあれこれをもっと正直に出してもいいんじゃないかと思うのだ。
例えば、世に認められたいとか、あいつは嫌いだとか、中瀬こんな感想書きやがってこんちくしょうだとか。
(作道君がこういったことを思っているということではない。あくまでも物の喩えである)
もし、そうした作道君の諸々と丸山君の諸々がさらにぶつかり合い、さらに混じり合ったら、それこそ予想だにしなかった、おかしくてかなしい、黒くて白い作品世界が生まれてくるような気がして、僕には仕方がないのだ。
むろん、他の演者陣、そして月面クロワッサンのファンの皆さんとの関係もあるだろうから、これは口で言うほど容易なことではないだろうが。
いずれにしても、月面クロワッサンの次回の公演を僕は愉しみにしたい。
2012年06月12日
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