2012年05月27日

劇団飛び道具『七刑人』

☆劇団飛び道具『七刑人』

 脚本・演出:大内卓
 レオニード・アンドレーエフ『七死刑囚物語』より
(2012年5月26日、アトリエ劇研)


 劇団飛び道具の公演を観るのは、確か京都府立文化芸術会館での『きょうりゅう狩り』以来だから、かれこれ10年近くぶりになるか。
 継続は力なりなんて言葉を使えば安易に過ぎるかもしれないが、作品そのものにしても演者陣の演技にしても、やはりこれまでの積み重ね、長い経験が如実に示された内容となっていたように僕には感じられた。

 『七刑人』は、アンドレーエフの『七死刑囚物語』を下敷きにした作品だが、20年以上前に読んだ微かな記憶(確か、ユーゴーの『死刑囚最後の日』も同時期に読んだはずだ)をたどって考えるに、原作の筋立てが巧く活かされているように思う。
 帝政ロシア末期、ある大臣の暗殺を企てたことで絞首刑を宣告された5人の男女と、主殺しや強盗殺人でこれまた絞首刑を宣告された2人の男という、7人の死刑囚の死刑執行までの時間を丁寧に描いた作品だけれど、政治的なテロリズムの問題や死刑制度がどうこうというよりも、さらに普遍的な死そのものや生そのもののあり様が深く問われていたのではないだろうか。
 前半から中盤にかけての監獄内での場面では、舞台上の登場人物同様、観るこちら側も出口のない場所に閉じ込められたかのような窮屈さを覚えたが、それが、後半場面が変わって、本来ならば死が迫り来ているのにもかかわらず、何かがすっと開いたというか、強い解放感を感じたことがまずもって印象に残った。
 そして、極限の状態に置かれるからこそ焙り出される、人間の滑稽さ「おかかなしさ」も強く印象に残った。
 劇団飛び道具の面々に加え客演陣も、ライヴ特有の傷はありつつも、これまでの経験に裏打ちされた厚みのある演技を披歴していた。
 役柄との取り組み方に加え、一人一人の人間性や死生観も垣間見えたように感じられた点も、個人的には興味深かった。
 また、照明や音響も作品の世界観によく沿っていたと思う。

 いずれにしても、観応えのある作品であり公演だった。
 次回の公演をぜひとも愉しみにしたい。
posted by figarok492na at 00:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 観劇記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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