☆マーラー:交響曲第9番
指揮:ジョン・バルビローリ
管弦楽:ベルリン・フィル
(1964年1月/アナログ・ステレオ・セッション録音)
<EMI>6 78292 2
先週、京都文化博物館のフィルムシアターで、黒澤明の『酔いどれ天使』、『野良犬』、『生きる』を三日続けて観たんだけれど、いやあ凄いっていうかなんていうか、ああだこうだと語りたいことがいっぱいあり過ぎて、結局映画記録をアップするのをやめてしまった。
自分一人でしんねりむっつりPCの前に向かうよりも、人とああだこうだとおしゃべりしているほうが面白いんだもの、そりゃ仕方ない。
で、ジョン・バルビローリがベルリン・フィルを指揮して録音したマーラーの交響曲第9番のCDも、黒澤作品同様、同好の仲間とああだこうだとおしゃべりしているほうが愉しい一枚ということになるのではないか。
だいたい、前年のコンサートの出来があまりに素晴らしく、ベルリン・フィルのメンバーが録音を希望したってエピソードからして、話の種になりそうだもの。
録音のかげんもあってか(とはいえ、リマスターのおかげで言うほど音質自体気になるわけではないが)、細部の粗さが気になる箇所があったり、より肌理が細やかな演奏や斜に構えた演奏を好むむきもあるだろうなとは思ったりもするのだけれど、作品の叙情性や諧謔性、劇性をストレートに表現した実にわかりやすく伝わりやすい演奏であることも事実だろう。
ベルリン・フィルの面々もバルビローリの解釈によく応えているのではないか。
非常に聴き応えのある演奏だ。
それにしても、輸入廉価盤ゆえ、この演奏が1000円以下で手に入るというのは、本当に申し訳ないかぎりである。
2012年03月26日
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