2012年03月16日

赤西蠣太

☆赤西蠣太<1936年、千恵蔵映画・日活>

 監督:伊丹万作
 脚色:伊丹万作
 原作:志賀直哉
(2012年3月16日、京都文化博物館フィルムシアター)


 東映時代劇の二大御大といえば、市川右太衛門御大と片岡千恵蔵御大ということになるが、生涯時代劇スターの看板を掲げ続けた右太衛門御大はひとまず置くとして、千恵蔵御大のほうは、どこかすっとぼけたような三の線のイメージが強い。
 特に、『大岡越前』シリーズの大岡忠高(忠相=越前の父親)は、頑固一徹な中に愛嬌というか、フラがあって、その個性的なエロキューション(木久扇師匠の十八番の一つ)ともども未だに忘れられない。
 そして、そんな後年の千恵蔵御大を彷彿とさせるのが、伊丹万作監督による『赤西蠣太』の赤西蠣太役である。

 いわゆる伊達騒動を主題とした『赤西蠣太』は、志賀直哉の小説を原作に、伊丹万作自身が巧妙に再構成し直した作品だが、片岡千恵蔵は朴訥として人柄のよい奥手なタイトルロールを力まず飄々と演じ切っている。
 また、今では伊丹十三の父親としてのほうが通りのよい伊丹万作の作劇も、笑いのツボをよく押さえて軽快、全くべたつかない。
(片岡千恵蔵は原田甲斐を一人二役でこなしており、こちらのほうで二枚目二の線の見せ場が用意してある)

 ほかに、原健作、瀬川路三郎、上山草人、杉山昌三九らが出演。

 なお、今月の京都文化博物館フィルムシアターの特集は「没後30年 俳優志村喬の世界」ということで、赤西蠣太の同僚役を志村喬が演じているが、滑稽さとまじめさを兼ね備えた彼らしい役回りだった。

 そうそう、志村喬といえば、『大岡越前』で小石川療養所の海野呑舟先生を演じていたんだっけ。
 現場で千恵蔵御大と志村喬が昔話をする機会はあったんだろうか。
 ちょっと気になるな。
 殿山泰司によると、志村喬は相当無口だったらしいが。
posted by figarok492na at 22:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント

この記事へのトラックバック