☆ブラームス:ピアノ協奏曲第2番
独奏:アルフレッド・ブレンデル(ピアノ)
指揮:クラウディオ・アバド
管弦楽:ベルリン・フィル
(1991年9月/デジタル・セッション録音)
実をいえばこのCD、同じ演奏者の第1番とともに今から15年ほど前に購入して、しばらくの間愛聴していたものだ。
ただ、CDのコレクションを初出時の輸入盤(フルプライス盤)に絞り始めたことに加え、ちょうど同じ時期に京都市交響楽団の定期演奏会でこの曲をいっしょに聴いた、その頃親しくしていた女性との仲がもわもわもやもやとなってしまったこともあって、えいままよと手放してしまったのである。
で、それからずっとこのCD、ばかりかブラームスのピアノ協奏曲第2番のCD自体、買いそびれていたのだけれど、一つには、ぐいぐい鋭く刺すような第1番の激しく強い曲調と対照的な、第2番の緩やかで穏やかな曲調にそれほど魅力を感じていなかったからかもしれない。
今回久しぶりにブレンデルとアバド&ベルリン・フィルが演奏したこの曲を聴いて思ったのは、まずもってその緩やかで穏やかな曲調が非常にしっくりくるということだった。
そして、ゆっくりたっぷり音を紡いでいきながら、それでいて、じっくり耳を傾ければ作曲者の様々な心の動きが透けて聴こえてくるような作品の結構が、とても興味深い。
一方、ブレンデルとアバド&ベルリン・フィルは、非常に安定した演奏を行っていると思う。
当然、枠をはみ出さない安定ぶりに不満を覚えるむきもあるだろうが、CDとして繰り返し聴くという意味では、やはりその安定した演奏は充分高い評価に値するのではないか。
第1楽章のホルンや第3楽章のチェロ独奏(ゲオルク・ファウスト)など、ベルリン・フィルもすこぶる達者だし。
ブラームスのピアノ協奏曲第2番のベーシックなコレクションとして安心してお薦めできる一枚だ。
2012年03月01日
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