2012年02月07日

恋する女たち

☆恋する女たち<1986年、東宝作品>

 監督:大森一樹
 脚本:大森一樹
 原作:氷室冴子
(2012年2月7日、京都文化博物館フィルムシアター)


 高校生の頃、斉藤由貴が大好きだった。
 と、言っても現実で好きになる女の子はなべて斉藤由貴とは似ていなかったから、もしかしたら彼女の容貌容姿ではなく、文学好きやらモルモン教徒やらという「その他」の部分に気を魅かれてしまったのかもしれない。
 あっそうそう、彼女の歌声もけっこう好きで、FMやAMから流れてくる彼女の歌をエアチェックして、何度も繰り返し愉しんだものだ。
(レコードやCDを買わなかったのは、クラシック音楽のそれを買うので小遣いが足りなかったからである)

 『恋する女たち』はそんな斉藤由貴が大好きだった頃とどんぴしゃの1986年に製作されたものなんだけど、実はこの作品に接したのは、その後しばらくして、大学に入ってからのことだった。
 残念ながらその頃には斉藤由貴熱も冷めていて(高校生から『卒業』したからでも、ましてや「支配からの卒業」などという邪念妄念に惑わされたからでもない。ただただ時の流れの為せる仕業だろう)、結局「金沢の風景が活かされた青春映画の佳品」といった感想に留まったのだけれど、それから20年以上経って再見すると、やっぱりこの頃の斉藤由貴はよかったなあと改めて感心した。
 いや、彼女の天然自然が高じてぼじゃぼじゃぼじょぼじょといった呟きになる台詞づかいは個性的な反面、いつもの如く拙さを感じさせるものだが(緒形拳が亡くなったとき、そうした斉藤由貴の天然自然ぶりを鍛え上げた自然さで受けた『とっておきの青春』での緒形さんの演技をすぐに思い出したものだ)、スクリーンに映し出される彼女のアップの表情、涙、笑顔がなんともいいのである。
 加えて、彼女演じる吉岡多佳子とその友人たちが繰り広げる恋に恋する季節ならではの物語にも、様々な記憶を呼び起された。
(そこには、今は懐かし氷室冴子のティーンズノベルのことやらケン・ラッセルの同名作品のことから始まって、気になっていた子とたまたまバスに乗り合わせてどきどきしたことやら、友人の誤解で痛い目にあったことなどまで含まれる)

 演技の巧拙はひとまず置いて、斉藤由貴と相楽晴子、高井麻巳子(おニャン子クラブのメンバーで、現秋元康夫人)という友人の組み合わせもよい。
 また、多佳子(斉藤由貴)にとって重要な役回りを小林聡美が務めているが、達者というか、もろ「小林聡美」が完成していて少し驚く。
 ほかに、柳葉敏郎(途中『タッチ』が絡んでくるのは同時上映の関係からだろう)、菅原加織(文太の息子で、当時薫。早世してしまった)、原田貴和子、蟹江敬三、星由里子(東宝ゆえか)、川津祐介、中村育二(当たり前だが、若い!)、上田耕一、室井滋、渡辺祐子、泉本教子らが出演している。

 約100分、懐かしい時間を過ごすことができた。

 それにしても、大森一樹監督って、この頃が彼のピークだったんではないのかなあ。
posted by figarok492na at 18:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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