2012年01月06日

太陽とバラ

☆太陽とバラ<1956年、松竹大船>

 監督:木下恵介
 脚本:木下恵介
(2012年1月6日、京都文化博物館フィルムシアター)


 三つ子の魂百まで、と言うけれど、表っ側は変わっても、なかなか地のほうまでは変わらないもの。
 『太陽の季節』など一連の作品からこの方、嵐を呼ぶ都知事石原慎太郎の人格ってものはよくも悪くも(悪くも悪くも?)ちっとも変わっていないなあ、などと、木下恵介監督の『太陽とバラ』を観ながら、ついつい思ってしまった。

 と、言ってもこの映画、「太陽」って言葉が題名に冠されているからといって、太陽族礼賛、石原慎太郎礼賛の作品だなんて思っちゃ大間違い。
 太陽族は太陽族でも、『太陽とバラ』はアンチ太陽族そのものの作品なのだ。

 で、85分程度の上映時間のうち、後半70分近くまで、正直僕は観ていて辛かった。
 一つには、木下恵介の描く不良像というのがステロタイプ的というか、どこか戦前調だし(そういや、戦前の与太公磯野秋雄が、吉川満子や小林十九二らとともにちょい役で顔を出していたっけ)、それより何より、いくら真っ当正論とはいえ、沢村貞子の言動から何から、どうにもウェットで辛気臭い。
 加えて、不良息子役の中村賀津雄(現嘉葎雄)も、演技はいいんだけど、なんともうじっとしていて辛気臭い。

 が、そうした辛気臭い積み重ねが、終盤俄然活きて来る。
 少なくとも、そう感じさせるような作品の造りになっている。
 そして、迎えるラストについては、同じ木下恵介の『日本の悲劇』を想起した、とだけ記しておこう。

 役者陣では、上述した中村賀津雄と鼻持ちならない真の太陽族ブルジョア息子を演じた石濱朗もいいし、彼の姉役久我美子の美しさもいつもながらだが、個人的にはどうしても沢村貞子を挙げざるをえまい。
 まさしく迫真の演技だと思う。

 ほかに、三宅邦子、有田紀子(同じ木下監督の『野菊の如き君なりき』の)、北竜二、龍岡晋、桜むつ子、須賀不二夫、奈良真養らも出演。

 それにしても、憎まれっ子世に憚るとはよく言ったもんだと改めて痛感した次第。
posted by figarok492na at 17:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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