☆シューベルト:交響曲第3番&第5番
リカルド・ムーティ指揮ウィーン・フィル
(1988年/デジタル・セッション録音)
<EMI>CDC7 49850 2
実演で接したことがないこともあってか、リカルド・ムーティという指揮者に対して、正直あまり思い入れがない。
録音で聴くかぎり、細かいところまでいろいろ考えていそうで、それが今ひとつ効果を発揮していないというか、全体として同じ調子に聴こえるような感じがするし、逆に曲目によっては力任せとまではいかないものの、エネルギッシュでパワフルな雰囲気ばかりが目につき耳につくという結果に終わってしまっている場合すらある。
それじゃあ、なんでそんな指揮者のCDを買うんだよと聴かれたら、大好きなシューベルトの交響曲第3番&第5番が500円(ブックオフ・中古)で出ていたからだと答えるばかりだ。
で、それほど期待せずに聴き始めたCDだったんだけれど、これは予想に反して当たりの一枚だった。
確かに、ムーティのそれいけずーんずーん的な前進志向はいつもの通りなのだが、それが第3番の陽性な音楽にはぴったりと合っていて、実に心地よいのだ。
(一つには、第3番がイタリア的な曲調を持っていることも大きいのかもしれない)
一方、モーツァルトの交響曲第40番を下敷きとした思しき第5番のほうは、あとちょっと細やかさが欲しいなと感じはつつも、それが大きな不満につながるということはなかった。
加えて、シューベルトの音楽の持つ歌謡性もけっこう巧くとらえられているのではないか。
さらに、個々の奏者、そしてアンサンブルともにウィーン・フィルの音色が美しい。
この二つの交響曲を一度も聴いたことがないという人にも安心してお薦めできるCDだ。
2011年12月25日
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