☆ベートーヴェン&シューマン:ピアノ4重奏曲
エマニュエル・アックス(ピアノ)
アイザック・スターン(ヴァイオリン)
ハイメ・ラレード(ヴィオラ)
ヨーヨー・マ(チェロ)
(1992年3月/デジタル・セッション録音)
<SONY>SK53339
実演録音問わず、室内楽を愉しむにはいくつかの選択肢がある。
例えば、かつての百万ドル・トリオのようなその名も轟く名人上手が寄り集まってここぞとばかりに挑む真剣勝負を選ぶ手もある一方、フォーレ・カルテットのような常設団体のじっくりしっかりと練れたアンサンブルの妙味を選ぶ手だってあるわけだ。
ただし、各々一長一短あって、前者はときに我が我がの力任せな演奏に終わる危険性がなきにしもあらずだし、後者はちんまりちょこちょこと小さくまとまってしまうおそれもなくはない。
で、今回取り上げるCDは、ちょうどその真ん中ぐらいに位置する演奏ということになるのではないだろうか。
ヴァイオリンのスターンやチェロのマと、確かに名だたる名手であるけれど、実演録音と何度も演奏を重ねているだけに、アンサンブルとしてのまとまりも思っていた以上に悪くない。
カップリングの二曲のうち、まず挙げるべきは躍動感にあふれたシューマンで、非常にエネルギッシュな演奏ともなっているが、清潔感に満ちた初期のベートーヴェンのインティメートな雰囲気にも僕は強く心魅かれた。
録音もクリアで、室内楽好きには安心してお薦めできる一枚だ。
2011年12月21日
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